News and Announcements [in Japanese]
地磁気センターニュース


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 地磁気世界資料解析センター News No.125    2011年1月31日
 
 
 
1.新着地磁気データ
 
    前回ニュース(2010年11月30日発行, No.124)以降入手、または、当センターで入力したデータの
うち、オンラインデータ以外の主なものは以下のとおりです。
 オンライン利用データの詳細は (http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html) を、観測所名の省略記号
等については、観測所カタログ (http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。
 また、先週の新着オンライン利用可データは、(http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html)で
御覧になれ、ほぼ2ヶ月前までさかのぼることもできます。
 
      Newly Arrived Data
 
    (1)Annual Reports and etc.(off-line)
          NGK (Sep. - Nov., 2010)、NUR、SOD、HAN、OUJ (Aug. Sep., 2009)
          Indian Obs. (ABG, HYB, JAI, NGP, PND, SIL, TIR, VSK, 2009)
 
    (2)Kp index: (http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
          Nov. - Dec., 2010
 
 
2.ASY/SYM指数
 
  2010年12月分までの1分値ASY/SYM指数 (http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html) 、を算出し、
ホームページにのせました。
 
 
3.通信衛星GALAXY-15漂流事故から回復へ
 
  当センターニュース昨年5月号 ( http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/news/1005.html ) に書きました
Intelsatの大型通信衛星GALAXY-15は、数ヶ月かかってバッテリーを完全に放電させることによりリセットされ、
幸い、地上からのコマンドを受け付けるようになって、機能がほぼ回復しつつあるとの連絡がJoe Allen
博士から届きました。当初Intelsatは、太陽活動が原因の可能性があると発表していましたが、そうでは
なくて、当センターが算出していますAE指数の急増、すなわち、大きなサブストーム発生とのタイミングの一致
その他の情報から、Joe Allen博士達が推定していたとおり、磁気圏尾部 (magnetotail) からの熱電子の流
入や高エネルギープロトン粒子フラックスによる放電 (EDS: Electrostatic Discharge) が原因であったと結論
づけました (Space News, Jan. 17, 2011) 。今回の事故は、通常は原因の特定が困難な衛星故障の原因がほぼ
特定でき、かつ、衛星が機能を回復するという、稀なケースでした。Intelsatによると、衛星が回復したの
で、損害額は100万ドル程度で済みそうだとのこと。
 
以下は、(多少の皮肉を込めた) Joe Allen博士からのメッセージ(2011.01.24)の一部です。
"Of course, unless one possesses special knowledge of some body of evidence that is not publicly
available, it isn't possible to conclude without doubt that a particular event happened to a satellite
in GEO orbit. However, the evidence that is available: solar flare, CME, particles and disturbed IMF
at the ACE satellite, and location of the GALAXY-15 satellite at the critical time just after it passed
through the midnight eclipse-region, the influx of thermal energy electrons injected from the magneto-
tail after having been carried back into the deep tail by merging on the front, Sunward side, and then
the focused stream of high-energy protons which encountered G-15 all created exactly the conditions
commonly recognized as the cause of electrostatic discharges involving earlier GEO satellite anomalies.
"ESD"yes, Sun-caused "Yes, most likely.""
 
[関連URL]
http://www.spaceref.com/news/viewsr.rss.spacewire.html?pid=35643
http://www.spacenews.com/satellite_telecom/110107-intelsat-moving-galaxy15.html
 
 
 4.2010年のkp指数図表
 
  2010年のKp指数図表 (Bartels musical diagram) を下に示します。オリジナルは
http://www-app3.gfz-potsdam.de/kp_index/download.html
の下にあります。
 
 

 
 
 Kp指数の数値 (1932年以降) 、及び1990年以降のKp指数図表は当センターの
http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html
からもご利用になれます。 最新のKp指数は原則として翌月半ばには利用可能となります。
 
 
 
 
5.地磁気世界資料解析センターデータサービス報告
 
 

 
 
 
6.「超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究」
  (略称:IUGONET)プロジェクト報告(その2)
 
  日本の5機関7組織が参加しており、地磁気センターも参加しているIUGONETプロジェクトでは、
全地球に展開している磁力計、レーダー、光学観測装置、太陽望遠鏡等を用いた超高層大気の地上観測
ネットワークにおいて、これまで長年にわたって蓄積された多種多様な観測データに関するメタデータ
・データベースシステムを構築しています。今回の地磁気センターニュースでは、今年の春にβ版の公
開を予定しているIUGONETメタデータ・データベースの紹介を行いたいと思います。
 
 図1に開発中のIUGONETメタデータ・データベースの検索結果の表示例を示します。図1は、京都
大学生存圏研究所のMiddle and Upper Atmosphere Radar (MU Radar)のメタデータ(この例の場合、観
測データセットの詳細情報、観測データの所在情報等)を表示しています。このページからリンクを辿
ることにより、京都大学生存圏研究所内で管理されているMU Radarによる観測データに到達することが
出来ます。
 
 

<図1:IUGONETメタデータ・データベースの検索結果の表示例
(Middle and Upper Atomosphere Radar)>
 
 
 キーワード、観測領域、さらには観測時刻等をキーとして検索を行うことにより、地磁気センターが所有
している様々な地磁気観測データに関するメタデータ(観測データの所在情報等)は元より、地磁気センタ
ー以外のIUGONETに参加している研究機関の観測データに関するメタデータも同時に検索することが可能
です。IUGONETメタデータ・データベースにより、様々な観測データへのアクセシビリティが向上し、そ
の結果として分野横断的な研究の促進が期待されます。
本紙面で書ききれなかった話題に関しては、ホームページ (http://www.iugonet.org/) の進捗状況にアク
セスして頂ければ幸いです。
 
 
 
7.第1回ICSU世界データシステム会議(於:京都大学)の開催について
 
 本年9月3日土)から9月6日(火)まで、京都大学百周年時計台記念館に於きまして、"The 1st ICSU
World Data System Conference - Global Data for Global Science"(第1回ICSU世界データシステム会議
−世界のデータが切り開くグローバルな科学−)を開催することが昨年夏に決定され、当センターが国内
組織委員会の中心になってその準備を進めつつあります。
 
  この会議は、ICSU (国際科学会議) が主催するもので、その2008年秋の総会で、国際的な研究事業を支
援するデータセンター組織として、1957年の国際地球年 (IGY) 以来活動を続けてきた世界資料センター
(WDC: World Data Center)システムを改組・拡充するために、「世界データシステム (WDS: World Data
System)」を発足させました。WDSの活動方針等は、2009年3月以来、WDS科学委員会で議論が行われていま
すが、2010 年3月に開かれた委員会において、データ提供のポリシー、データの品質管理と長期的保全を行
う体制、データ利用システムの構築、情報格差問題への取組み等における活動方針の確定と、WDSが提供する
データによって創成される、新しい科学研究の方向を把握することなど目的とした国際研究集会を早期に開催
する必要性が指摘され、我が国が第一回の研究集会の開催国となることになりました。そして、日本学術会議
惑星科学委員会WDC小委員会において、長年WDC for Geomagnetismを活動的に運営してきた京都大学でこの
会議を開催することが決定されました。
 
 この研究集会では、データセンターの担当者やデータを利用する研究者からの意見や提案を集約し、WDS
の活動方針を確定することと、WDS が提供する多様なデータによって創成される、主として地球科学分野に
おける新しい国際共同研究の方向を把握し、データの検索や流通などに関する情報科学研究の成果をWDS の
活動に生かすことを目指します。この研究集会によってWDS が本格的な活動を開始する体勢が整い、人類共
通の財産であるデータの共有と、国際的研究協力の充実に向けて、重要なステップを踏み出すことになります。
また、2010年10月に開かれたWDS科学委員会では、情報通信研究機構(NICT)がWDSの事務局(International
Program Office; WDS-IPO)を引き受けることになり、京都大学おける第一回のこの会議は、今後のWDSの発展
と我が国の果たすべき役割の方向を見極める上で、極めて重要なものとなります。
 
 現在、WDS科学委員会で会議のセッションの詳細が議論されており、まもなく会議への参加申し込み方法
を含め、下記ホームページより案内させていただく予定です。
 
 
http://wdc2.kugi.kyoto-u.ac.jp/wds2011/ 
  <会議のホームページ>