No. 41 [Jan. '97] No. 42 [Mar. '97] No. 43 [May. '97] No. 44 [Jul. '97] No. 45 [Sep. '97]
★地磁気センターニュース No.46/1997年11月20日発行★ 1. 新着地磁気データ 前回ニュース(1997年9月19日発行,No.45)以降入手、または、当センターで入力したデータ の内、主なものは以下のとおりです。(観測所名の省略記号等については、データカタログまた はデータベース'GEOMAG'をご参照ください。) Newly Arrived Data (1)Analogue Data Normal Run Magnetograms: Kiruna(1996) Annual Reports and etc.: Niemegk(Jul-Sep 1997), Finnish Obs.(HAN,NUR,OUJ,SOD Aug,Sep 1997) San Fernando(1995), Vassouras(1982-89) Memambetsu,Kakioka,Kanoya,Chchijima(1996) Fredericksburg(Aug-Sep 1997), Toledo,Las Mesas(1995) Grocka(1995), Leirvogur(1996) Danish Obs.(BFE,THL,NAQ,GDH: 1996), (2)Digital Data Geomagnetic Hourly Values: Lunping(Jul,Aug 1997), Kakioka,Kanoya, Memambetsu(Aug-Oct 1997) Niemegk(1996), Las Mesas(1961-63, 66-92), Chichijima(Apr-Jun, 1997) Indian Obs.(ANN,ABG,TRD,UJJ; 1993) Geomagnetic 1 Minute Values: Kakioka,Memambetsu, Kanoya(Aug-Oct 1997), Lunping(Aug-Oct 1997) Valentia(Sep-Oct 1997), Chichijima(Apr-Jun 1997), Hatizyo(Aug-Oct 1997) Narsarsuaq(Jul-Dec 1996), Thule(Jul-Dec 1996), Godhavn(Jul-Dec 1996) Vostok(1992,1995), Mirny(1995), Niemegk(1996) Geomagnetic 1 Second Values: Kakioka,Kanoya,Memambetsu(Aug-Oct 1997), (3)Kp Index Kp-Index Table(Sep-Oct 1997) なおデータの注文等は、当センター宛、書面またはFAXにてお願いします。 2. 一時間値Dst指数の算出と配布 1997年8月〜9月までのDst指数(Provisional)を算出し、関係機関に配布しました。 ご希望の方は、郵便またはファクシミリにて、京都大学理学部地磁気世界資料解析センターまで お申し込み下さい。なお、Quick Look DstおよびQuick Look AE指数は2〜3日の遅 れで当センターのホームページから利用できます。 3. 当センターWebホームページからのデータ出力について かねてよりご利用いただいておりました、地磁気1分値に加えて、AE-ASY/SYM、及び地磁気1時間値 1年プロットのページでも、指定された期間(次項参照)のデータが取得できるようになりました。 画面上でデータ出力を選択した場合、出力する要素として、AE-ASY/SYMでは、 1.プロットされる主要な5成分(AU,AL,ASY-D,ASY-H,SYM-H) 2.AE全4成分(AU,AL,AE,AO) 3.ASY/SYM全4成分(ASY-D,ASY-H,SYM-D,SYM-H) 地磁気1時間値では、 1.プロットされる3成分(DHZまたはZXY) 2.利用可能な全成分(最大7成分ですが多くの場合は1.にFを加えた4成分) の中から選ぶことができます。 注意点として、データ出力はテキスト形式ですが、MIME形式のヘッダーとして "Content-type: application/WDC-C2" を付けています。ご使用のWWW閲覧ソフトが"application/WDC-C2"という型 のファイルの処理を聞いてくる事がありますが、"保存"を選択して下さい。また閲覧ソフトで "application/WDC-C2"という型のファイルを保存するように設定できます。不具合などございましたら、 当センターまでお尋ね下さい。また、データのレコードの区切りが(LF)のみのままとなるので一部の Editor(notepadなど)では表示が乱れることがあります。 4. 当センターWebホームページからのプロット/データ出力の期間指定について 地磁気1分値及びAE-ASY/SYMプロット/データ出力の期間が1-9日の範囲で指定できるようになり ました。最初の日と期間の形で指定しますが、以下の点にご注意願います。 1.月をまたがった指定はできません。例えば1995年1月29日から5日間と指定すると、 1995年1月31日までの3日間と見なされます。 2.期間が長くなるとそれに応じて計算時間、転送時間が延びるので気長に待つ必要があります。 また、プロットの場合には、 3.1画面に収まるよう期間が2-4日の場合は1/2に、5-9日の場合は1/3に縮小されます。従って GIF形式出力の場合には転送データ量は余り増加しませんが、解像度が低下します。これに対し、 PS形式出力の場合にはファイルの解像度は低下しませんが、期間に比例して、転送データ量が 増大します。 4.感度(Sensitivity)は、Auto(標準値)の場合、各日・成分ごとに最適値にされるので異なる ことになります(AE-ASYの場合はAU/ALとASY-H/ASY-D/SYM-Hは別)。すべて同一にしたいときは Auto以外を指定してください。 なお、地磁気1時間値プロット/データ出力の期間については1年の範囲内で、開始月・終了月を 指定します。 5. 当センターWebホームページからの地磁気1秒値サービスの開始について かねてよりご利用いただいておりました、地磁気1時間値及び地磁気1分値に続き、地磁気1秒値も、 Webホームページでのサービスを開始しました。 URLアドレスは(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/)です。 内容は、指定された年月日時分から1-180分間(分単位)のプロット及びデータ出力で、プロットの 場合、感度は自動の他7段階から選ぶことができ、出力形式はGIF形式とPostscriptファイルから選 択できます。データ出力の場合、形式はテキストで人が見やすいようにカラム形式ですが、計算機 読み込み用に、サンプルのFORTRAN77プログラムが用意されています。今のところ利用できる観測所 は柿岡(1983年2月以降)、女満別・鹿屋(1997年8月以降)です。 データ量が多いため、処理に多少時間がかかりますがご了承願います。 これら一連のホームページ上でのデータプロット/データ出力サービスについては、 現京都大学超高層電波研究センターCOE研究員の斉藤 昭則氏の協力を得ました。 6. Provisional Plots 1997年7月〜9月分の追加 当センターのホームページ(Data Service-Archive-Provisional Data Plots)に1997年7月〜 9月分の1分値データプロットを追加しました。ポストスクリプトファイルの形式で収納されて ますので、anonymous ftp(IP: 130.54.59.253, ディレクトリ: ./data/pplot)からダウンロード してポストスクリプトプリンタに出力することもできます。 7. 女満別訪問記 INTERMAGNETでは、気象衛星「ひまわり」を経由してリアルタイムの地磁気データを集めています が、このところ女満別からの送信がうまくいってませんでした。そこで、10月1日から2日にかけて 女満別の送信機・ケーブル・アンテナのテストとアンテナ・ケーブルの交換作業を実施しました。 私は、地磁気センターの亀井先生と共に気象庁地磁気観測所女満別出張所を訪ね、作業の手伝い をしました。当日は屋外のアンテナ部分と送信機のある屋内とを行ったり来たりでバタバタして いましたが、そんな中、観測所の施設を見学させて頂きましたので、その様子を紹介します。 まず始めに、地磁気変化を測定しているところを訪ねました。この観測は地面に掘られた地下室 の中で行われています。日本国内の観測所では、このような深い地下室の中で観測するそうです。 そして、中の気温は常に8度ぐらいで一定になっているそうです。階段で7mほど降りていくと、 Fluxgate磁力計のセンサーが鎮座していました。このように、温度変化も少ない地中でさえも、ノ イズは入ってくるそうです。女満別で一番問題になっているのは、この観測坑から100mも離れてい ないところにある自動車教習所です。ここは大型の教習も行っているため、短い周期で見ると影響 が出ているそうです。そのために、現在もう少し山寄りのところに別の地下室を掘って試験的に観 測しているそうです。 次に、絶対観測の小屋も見せて頂きました。この小屋はかなり大きく、ちょっとした一軒家ぐら いはありました。こちらの小屋は温度を一定にするためにヒーターが入っていて、室内はやや暑か ったです。ここには絶対観測を行う装置がありました。また、以前使っていたという大きな電源装 置がおいてありました。冬にはかなり寒くなるので、天測は今の時期にやっておくそうです。訪問 したときでさえも、午後3時を過ぎると急に冷え込んできました。ずっと本州でしか生活したこ とのない私にとっては、冬は全く想像もできないような世界になるのでしょう。 この小屋の近くに、新たに高精度Fluxgate磁力計のセンサーを置くための立派な建物がありまし た。この建物の屋根は銅板で張ってあるのですが、これがくせ者で、観測をしてみると日射の有無 によって観測値に影響が出るようになってしまったそうです。このような精密な観測には様々な苦 労があるのだな、と感じました。 また、本館の中にはデータを処理するコンピュータやパソコンなどが置かれていました。これら の機械によって観測データを取っているそうです。ただ、これらのコンピュータは外部とはオンラ インでつながっていないので、ディスクを通じてやりとりしていると聞きましたが、オンラインで つながったらもっと便利になるだろうと感じました。 観測所全体を見た感想は、現在私自身が峰山(京都府)で行っている観測とは、雲泥の差がある ということです。実際に地磁気の観測が行われているのは峰山でしか見たことがなかったので、見 るものはどれも新鮮なものでした。このような場所に比べたら峰山なんておもちゃみたいにも思え てしまいます。それと同時に、自然現象の観測の難しさというものも実感しました。国内では一番 条件の良い女満別でさえも、様々なノイズが入ってしまっているのですから。 このような様々な苦労の末に取られたデータを我々は使うことができるのですから、常に感謝の 気持を忘れてはいけないとも思いました。(京都大学 理学部 地球惑星科学系 4回生・藤田信幸) 8. 柿岡、女満別、鹿屋の0.1秒値データについて 気象庁の地磁気観測所から品質の高い地磁気データの提供を受けていますが、従来の1時間値・1秒 値に加えこの度0.1秒値データも提供して頂けることになりました。観測開始は鹿屋は1996年6月、 女満別は1997年4月、柿岡は1997年6月で、昨日今までの全観測期間を受け取りました。 1日分が約6Mbyteの1ファイルになっていて、各観測所の1月分をまとめてMOで受け取っています。 非常に膨大なデータですので、地磁気センターからもオンライン提供は現在はできませんが、将来 は分単位で必要な期間を選択提供することも出来る様にする予定です。 元のデータフォーマットはパソコン系の2Byteバイナリーで、Fluxgate磁力計のHDZ成分をアナロ グフイルターで短周期のみの変動値にしたX',Y',Z'成分が0.001nT単位で記録されています。周期 毎に感度と位相が異なるのでデータそのものと各観測所の各成分毎にキャリブレーション表が添付 されています。感度と位相回転をグラフにしたものを図1に示します。特に100秒前後の変動は逆 位相になっていますので波形を議論する場合などは必ずフィルターの入っていない1秒値を参照す るなどの注意が必要です。 女満別、柿岡、鹿屋の0.1秒値と地磁気センターが防災研峰山観測所でテスト観測している0.1秒値 を6分間プロットしたもののX'・H成分とY'・D成分を図2に示します(この図は4回生の藤田信幸 君に作ってもらいました、なお峰山で1分毎に2秒間出ているシフトは10mはなれたプロトン磁力計 の励磁磁場です)。 信頼性の高い、気象庁の地磁気観測所の0.1秒値データはPC1、Pi1、SSCなどの研究や地震絡みの変 動やノイズの判定などに活用できるデータだと思います。