News and Announcements [in Japanese]
地磁気センターニュース


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 地磁気世界資料解析センター News No.103   2007年5月30日
 
 
 
1.新着地磁気データ
    前回ニュース(2007年3月30日発行, No.102)以降入手、または、当センターで入力したデータのうち、
主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細は
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html) を、観測所名の省略記号等については、観測所カタログ
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。
また、先週の新着オンライン利用可データは、
  (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html)で御覧になれ、2ヶ月前までさかのぼること
 もできます。
 
      Newly Arrived Data
 
        (1)Annual Reports and etc.
              NGK (Mar., 2007), SOD, OUJ, HAN, NUR (Feb. - Mar., 2007), SPT, GUI (2004)
 
        (2)Kp index: (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
              Mar., - Apr., 2007
 
 
2.AE指数とASY/SYM指数
    2007年4月分までの1分値ASY/SYM指数を算出し、ホームページに載せました
 (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html)。
また2007年4月までのQuick Look AE指数も上記アドレスからダウンロード可能です。
 
 
3.Provisional Geomagnetic Data Plots について
  世界各地で測定された地磁気1分値データをプロットしたProvisional Geomagnetic Data Plotの2007年2月
までのポストスクリプトファイルが利用できるようになりました。図の形式は2日分が1画面です。
(ftp://swdcftp.kugi.kyoto-u.ac.jp/data/pplot)。
 
 
4.当センターWorld Wide Webホームページの更新と概要
   当センターでは1995年11月にホームページを公開して以来順次その中身の充実を図ってきており、世界
各地からご利用いただいておりますが、2007年4月にサーバを移転し処理能力を増強し、10〜50倍の高速化を
図りました。つきましては当センターホームページの現時点での概要を紹介します。
URLアドレスは以下のようになっております。
 
英語      http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/
日本語    http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/index-j.html
 
 
 中身は大きく以下の6つのセクションに分かれており、それぞれのセクションのトップページへは、バナーを
クリックすることで、基本的に全てのページから直接移動できるようになっています。また、必要に応じて
セクションをまたがったリンクも張られています。各ページには基本的に日本語版、英語版両方ありますが、
ページによってはどちらか一方のみのものもあります。以下では日本語版ページを主に紹介しますが、データ
サービスは基本的に英語となっています。
 
0. トップページ (http:/index-j.html)
      トップページにはほかの各セクションへのリンクのほか新着情報のページへのリンクがあり、そこ
  には最近新設ないし更新されたページへのリンクのほか、今月のAE,Dst指数のページや、新着オンライン
  利用可データのページへのリンクも置かれています。
 
1. 地磁気センターについて (http:/wdc/Sec1-j.html)
       このセクションの下には地磁気センターに関する以下のページがあります。
 
   a. 概要、活動報告、ホームページアクセス統計、 研究活動、出版物リスト、論文リスト、当センターの
     概要や活動状況などです。
 
   b. スタッフ、来かた案内と地図
      スタッフ一覧と個人ページへのリンク、当センターへ来られる方のためのアクセスガイドのほか、
      日本、京都、京大近辺の地図などがあります。
 
   c. ニュース、PDF版パンフレット、広報
      ニュースは最新版のほか2000年以降のバックナンバーもご覧になれます。紙版とは異なり、写真が
      一部カラーとなっています。パンフレットは「地磁気とは何だろう?」、「地磁気はどうしてでき
      るのだろう?」、「地磁気は地球周辺のプラズマを支配する」、「地磁気研究の社会的意義」という
      4セクションからなり、地磁気全般にわたる解説となっています。広報は停電等によるホームページ
      サービス停止や教員や職員の公募などのお知らせなどに利用されます。
 
   d. 世界資料センターとは、日本にある世界資料センター、WDCシステム世界資料センター-(WDC)に
      ついての解説と、日本にある世界資料センターの一覧のほか、NOAAにあるWDCシステムへのリンク
      があります。
 
2. 地磁気とは? (http:/wdc/Sec2-j.html)
   「磁石の北と地磁気極と磁極」、「極での方位磁石」、「地磁気要素について」、「あなたが生まれた
   日の地磁気変化を見てみよう」、「過去400年の地磁気の強さの緯アニメーション」といった初心者
   向けページや Google Earth 上で表示される地磁気の観測とデータの収集のページのほか、上 記
   パンフレット等当センターサイト内外の関連したページへのリンクがあります。
 
3. 地磁気データサービス  (http:/wdc/Sec3-j.html)
   このセクションでは当センターが収集した地磁気データを公開しています。データについての解説は
   http:/wdc/expdata-j.htmlにあります。
 
   a. 地磁気指数
      当センターで算出されているAE指数と Dst指数のリアルタイムプロットのほか、AE, Dst,
      ASY指数のプロット、ダウンロード、Kp,ap指数や地磁気静穏日、擾乱日リストなどが利用
      できます。
 
   b. 観測所地磁気データ
 
   b-1.速報
      速報ページでは、ネットワークを介して集められた世界約20ヶ所の地磁気観測データのプロット
      が、信楽と峰山のページでは当センターで観測している地磁気1秒値のプロットがご覧に
      なれます。また、ピマーイ(タイ)とイズニック(トルコ)での準リアルタイム観測や、地磁気
      Pi2 検出速報のページへのリンクなどもあります。
 
   b-2.アーカイブデータ
      地磁気1時間値、1分値、1秒値のプロットとダウンロードのほか、ノーマルランマグネトグ
      ラムなどの画像データが利用できます。標準ではカタログ検索を行った後、その結果に基づき
      選択して利用するようになっていますが、直接当該ページからの利用も可能です。
 
   b-3.地磁気Provisional Plots
    ポストスクリプトファイル形式の1994年以降の地磁気Provisional Plotsが取得できます。
 
   c. 磁場モデル/その他
      国際標準地球磁場モデル (IGRF-10) のページでは、モデルに基づく磁気図やモデル磁場係数が
      置かれているほか、モデル磁場計算や地理座標と地磁気座標の相互変換のページへのリンクなど
      があります。また、その他では観測所磁場データカタログ(新着データ、オンライン検索及び
      PDF形式のカタログ)が利用できます。さらにIRI及びCIRAモデルに基づく電離層電気伝導度
      モデル計算のページもあります。
 
4. インターマグネット 京都 GIN (http:/imagdir/imagj.html)
   このセクションにはINTERMAGNETについての以下のページがあります。
   a. 京都でサービスしているインターマグネット観測所の実時間観測データ表示
      インターマグネット経由で取得された世界約20カ所の地磁気データのプロットがご覧になれます。
   b. INTERMAGNETについて
      インターマグネットについての解説の各国語版があります。
 
5. 他サイトへのリンク (http:/wdc/Sec5-j.html)
   京都大学内、世界資料センター等、学会等関連する諸サイトへのリンクがあります。特に世界各地
   の地磁気観測所とその運営母体のホームページへのリンクはまとめて別ページに置かれています。
 
 
5.All WDC Conference 参加報告       
   2007年5月7日から9日までグリム童話『ブレーメンの音楽隊』で知られているドイツ・ブレーメン
で開催された国際学術連合会議(ICSU)傘下の世界資料センター(WDC: World Data Center)総会(All-WDC
Conference)に出席しました。会議場はブレーメン大学のMARUM会議室、参加者は約60 名余りでした(写真1)。
 
 
         
                < 写真1: 会議の風景 >
 
 
 この総会は、数年に一度、現在は51カ所あるWDCのセンター長とパネルメンバーが集まって、WDC
の活動について議論する会議で、我が国には現在7つのWDCがありますが、出席したのはWDCパネル
メンバーである渡邊堯氏とNICTにある電離層世界資料センターから石井守氏、および地磁気世界資料解析
センター京都から私の計3名のみでした。中国からは大挙して17名も参加していたのに比べると、やや寂しい
気がしました。以下、会議の様子を報告します。                        
 
   初日は全体の会議で、最初に、議長役を務めるHartmut Grassl教授から会議の目的について、前WDC
パネル議長のFerris Webster博士から、WDCの簡単な歴史の紹介と問題点、WDCの上部組織である
ICSUから、Carthage Smith博士が、WDCと関係の深い、CODAT, FAGS、等とWDCの関係についての
議論の状況と今後のスケジュールについて、GEOSS(Jose Achache博士)やIPY(Taco de Brun博士)、その他IGY
から50年を経過するのを記念して今年から来年にかけて計画されている国際プログラムやCODATA(Bob Chen博士)
から、それらの紹介およびWDCとの関係について講演がありました。引き続き、いくつかのWDCから、
この会議の目的に関係する最近の主要な活動の紹介がありました。また、最近、パネル側で実際に各センターの
ホームページにログインして行った、各センターのホームページを通したサービス調査の統計結果が報告されました。
各センターからは、あらかじめFTPで送信したポスターでの発表で、会議の時間は大部分全体的な話の議論に
当てられました。
 
 今回の会議の目的は、現在世界で51ヶ所あるWDCの活動の評価、現在はあまりまとまりのない
WDCを、分野をまたがるデータセンター「システム」として機能させるための方策、情報技術を活用
した機能の現代化、およびWDC活動以外で地球観測データに関連する大きな国際計画であるGEOSS 
(Global Earth Observation System of Systems)やIGY+50の諸計画(eGY, IPY, IHY, IYPE)とどのように関わるか
ということでした。
 
  2日目は、全体が4つのテーマに分かれて、より詳細な議論を行いました。日本からの3名は各テーマ
に分散することにし、私は、WDCのネットワーク化に関係する諸問題を議論するグループの会議に参加
しました。このグループでは、現在分野ごとに分かれていてほとんど横の繋がりのないWDCを最近の学際
分野研究の発展や、地球観測データの統合を目指すGEOSSとの関係でどのようにネットワーク化するかを
主要なテーマとして議論がなされました。ちなみに、4つのテーマとは、
 
  Topic 1: Ways to improve the overall abailability and quality of scientific data
  Topic 2: Ways towards networking WDCs
  Topic 3: Data driven science - WDCs and GEOSS
  Topic 4. The role of WDCs in IPY
でした。
 
 メタデータベースをどのように構築するかについては、他の計画(GEOSS, IPYなど)でも同様な議論が
行われていて、それとの関係をどうするかという話から、具体的にどのようなメタデータに関する標準を
採用するかという技術的な話まで非常にレベルの異なる議論が行われました。目標はWDCのシステムと
してのネットワーク化(異なる分野をまたがるデータサービス)を行い学際的研究推進に寄与することで
すが、それぞれ状況が異なるため、メタデーデータには必要最小限の情報は含むこと、標準規格として何
を使うかについては今後検討を続けること、利用する側のことを基本としてシステムを考えるべきことな
どをこのグループの結論とすることになりまた。最終日の全体会議では、中国の5ヶ所のWDCと、ヨー
ロッパの3ヶ所がネットワーク化の実験を行うことが合意されました。
 
 今回の出張では、様々な計画で分野をまたがるデータベースの構築、それに関係するメタデータの議論が
独立に行われており、これらを調整する必要性を再認識しました。我が国においても状況は同じか、あるいは
ほとんど進展していないようで、今回の会議では日本におけるGEOSSやIGY+50に関する活動の話が何も
出てこなかったのは残念でした。
 
 5月18日に予定している国立極地研究所研究集会『極域を含む学際研究推進のためのメタデータベース
構築の可能性』や来年秋に開催することを目標に準備を進めている国際シンポジウム『IGYから50年:
最新情報技術と地球科学』は、国内あるいはアジア地域を念頭に置いていますが、まさに同じ問題意識を
世界規模にして議論をしたのが今回のAll WDC Conference であったと言えます。
 
  地磁気データのサービスをしているWDCは、京都を含め世界には全部で5ヶ所もありますが、今回は
たまたまその全てから関係者が参加していたので、地磁気データ交換について休憩時間などを利用して相談
することができました。その結果、これまではコペンハーゲンと京都の間だけで行われていたミラーリング
ソフトを用いた新着データの交換を、英国地質調査所(BGS)および米国海洋大気局(NOAA)のセンターとも
実施することになりました。
 
  最終日は午前中で会議のまとめをして閉会となりましたので、午後はブレーメンの町を歩き回りました。
こじんまりした川沿いの美しい港(?)町で、『ブレーメンの音楽隊』の銅像(写真2)や絵本に出てくる
ようなかわいい町並みがあり、夜はレストランでおいしいビールを楽しむことができたのは「センター長」
の役得でした。                                           
 
 
         
     < 写真2: 市庁舎の角にこじんまりと立っている 『ブレーメンの音楽隊』 >
 
 
 
                                                                                    (家森 俊彦)
 
 
 
 
6.臺灣地球科學聯合學術研討會参加譚
  5月15-18日の日程で台湾・桃園県で開催された臺灣地球科學聯合學術研討會(Taiwan Geosciences
Assembly)に参加してきました。この会議は日本で言えば、日本地球惑星科学連合大会に対応するもので、
台湾国内の地球惑星科学に関わっている研究者が一堂に会するものです。開催セッションは、Atmospheric
Sciences, Biogeosciences, Energy and Resource, Geodesy, Geophysics, Global Environment Change, Hazards,
Hydrology, Mineral and Rock Physics, Ocean Sciences, Seismology, Stratigraphy, Surface Process, Space
Sciences, Tectonophysics, Volocanologyなど広範囲の分野にわたっています。会場はAcer Aspire Parkという中
規模の会議場で、10室程度の部屋で4日間に亘ってセッションの同時進行が行われ、200件を超えるポスター発表
もありました。参加総人数は約1500人だったとのことです。毎年開催されるわけではなく、2-3年に1度の頻度だ
そうで、次回は2010年の春に予定されています。なお、今回の会議のホームページアドレスは
http://2007tga.cgu.org.twです。
 
 今回は、国立中央大学のJ.-H. Shue博士にご招待をいただき、博士がコンビーナを務められたSpace
Sciencesセッションの中の「日地物理:磁尾的動力學過程與高緯度電離層現象的關連 (Solar-Terrestrial
Physics: Dynamics of the Magnetotail and its Connection to Phenomena in the High-Latitude Ionosphere)」
サブセッションで、電離層起源イオンの電離層上空およびプラズマシートにおけるダイナミクスについて研究発表
を行ってきました。このサブセッションは、International Sessionと位置づけられており、発表や質疑応答は英語
ということになっています。22名の口頭発表のうち、台湾国外からの発表者は私を含め6名でした。
台湾国内の発表者は、計算機シミュレーションの結果(オーロラ粒子加速、K-H不安定性、太陽表面上の磁気リコ
ネクションなど)を報告される方が多いという印象を受けました。データ解析では、Geotail衛星、Polar衛星、
地上磁場データなどを利用して、BBF、サブストーム時の地上磁場変化、Slow-modeショック、Pi2についての報告
がありました。残念ながら参加することはできませんでしたが、他のセッションについては、昨年に打ち上げ
られたFORMOSAT-3/COSMIC衛星の特別セッションや地理的に近いことから台湾-フィリピン地球科学学術検討会
がユニオンセッションとして開催されていたことが目を惹きました。
 
  会期中に国立中央大学へも立ち寄り、多くのスタッフと会うことができました。ルンピン地磁気観測所が
閉鎖されて以来の台湾での磁場観測事情を伺ったところ、顔宏元教授が中心となって、国立中正大学(嘉義県
民雄、台湾南部)と国立東華大学(花蓮県壽豊、台湾東部)の2ヶ所でフラックスゲート磁力計、プロトン磁力
計による連続計測を行っているとのことでした。ただ、目的は地震に伴う電磁気現象の検出ということで、
超高層現象の解析のために利用している人はいないそうです。
 
 
 以下は、滞在中に目にした現地の言葉です。日本語ではどんな意味になるでしょう?(答えはこの記事の
最後にあります。)
 
(1)壁報、(2)主持人、(3)野外考察、(4)工作員席、(5)密碼、(6)交錯比對分析、(7)三明治、(8)便當、(9)鳳梨、
(10)家喜福
 
 
 
      
        < 臺灣地球科學聯合學術研討會・               < 国立中央大学キャンパス
         Acer Aspire Park会場にて >                 入り口のシンボルタワー >
 
 
 
 
答え
(1)ポスター発表、(2)座長、(3)フィールドトリップ、(4)会場係員席、(5)パスワード、(6)相関解析、
(7)サンドイッチ、(8)弁当、(9)パイナップル、(10)カルフール、
 
 
                                                                                   (能勢 正仁)