News and Announcements [in Japanese]
地磁気センターニュース


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 地磁気世界資料解析センター News No.95 2006年1月31日
 
 
 
1.新着地磁気データ
 
    前回ニュース(2005年9月30日発行, No.93)以降入手、または、当センターで入力したデータの
うち、主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細は
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html) を、観測所名の省略記号等については、観測所カ
タログ(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。
また、先週の新着オンライン利用可データは、
  (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html)で御覧になれ、2ヶ月前までさかのぼること
 もできます。
 
      Newly Arrived Data
 
        (1)Annual Reports and etc.
 
  	    UPS, LOV, ABK (2003, 2004), SFS (2004)
	    SOD, OUJ, NUR, HAN (Nov., 2005), NGK (Nov., 2005)
 
 
    (2)Kp index: (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
 
       Nov. - Dec., 2005
 
 
 
 2.Dst指数、AE指数とASY/SYM指数
 
     2005年10月〜2006年1月のDST 指数 Quick Look Dst (Provisional) を算出し、関係機関に配布し
ました。また、2005年12 月分までの1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せました
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html)。なお、2005年分を載せた「MID-LATITUDE
GEOMAGNETIC INDICES ASY and SYM (PROVISIONAL) No.16 2005」は現在印刷中です。新たに配布
ご希望の方はセンターまでお申し込み下さい。
 
 
 
3.Provisional Geomagnetic Data Plots について
 
  世界各地で測定された地磁気1分値データをプロットしたProvisional Geomagnetic Data Plotの2005年
12月までのポストスクリプトファイルが利用できるようになりました。図の形式は2日分が1画面です。
(ftp://swdcftp.kugi.kyoto-u.ac.jp/data/pplot)。
 
 
 
4.リアルタイムPi2地磁気脈動自動検出システム構築譚
 
2005年6月27日から7月9日、および9月5-6日、9月13-26日にかけて、5箇所の地磁気観測所を訪れ、Pi2地磁
気脈動自動検出ソフトウェアをインストールしてきました。このソフトウェアは、リアルタイムの地磁気観
測データを読み込み、ウェーブレット解析を用いて、Pi2地磁気脈動の発生を自動検出するものです。(詳細
は、Nose et al. [1998]をご覧ください。) Pi2地磁気脈動は深夜を中心とした時間帯に観測されやすいと
考えられているので、一箇所の観測所だけでは、その観測所が昼間に位置している間、検出効率が落ちてし
まいます。そこで、経度方向に広がりを持つように選んだ複数の観測所にPi2自動検出ソフトウェアをイン
ストールし、少なくともどこか一つの観測所からは夜間におけるPi2発生状況が通知されてくるようなシス
テムの構築を目指しました。今回の訪問地は、イギリス・ヨーク(York)観測所、ドイツ・フュルステンフェル
ドブルック(Furstenfeldbruck)観測所、日本・柿岡(Kakioka)観測所、アメリカ・ジョンズホプキンス大学
応用物理研究所(JHU/APL)、メキシコ・テオロユーカン(Teoloyucan)観測所です。観測所の位置と地磁気
緯度・経度は図1に示しました。(峰山(Mineyama)地磁気観測所には、すでにソフトウェアがインストール
されていたので、省略します。) 図1から分かるように、合計6箇所の観測所は、日本・ヨーロッパ・アメ
リカの各地域に2箇所ずつ配置したようになっています。それぞれの地域は経度にして約120度ずつ離れて
いるので、どの時間においても、必ずどこかの地域は夜間に位置することになります。また、1つの地域に
2つの観測所があるのは、何らかのトラブルが発生したときに備え、お互いにバックアップの役割を担う
ためです。
各観測所では、高時間分解能(1秒サンプリング)の地磁気データをリアルタイムで収集し、ネットワークを
通じて配信できる観測システムが既に構築されていました。事前に観測所の責任者・担当者に連絡を取り、
その観測システムにPi2自動検出ソフトウェアを組み込んで検出結果を京都大学へ送ることについて許可を
もらいました。データのフォーマットや現地での作業予定などを電子メールで打ち合わせておいて、さあ
出発です。
 
 
     
 図1:Pi2地磁気脈動自動検出ソフトウェアをインストールした観測所の地図上の位置と地磁気緯度・
経度。右下は各観測所の写真。
 
 
イギリス・ヨーク観測所
 
6月27日に日本を発ち、利用旅客数がヨーロッパでは最大といわれるロンドン・ヒースロー空港経由で、
マンチェスター空港に着きました。この空港から北に約110 km離れたところに、ヨーク観測所を運営・
維持しているランカスター(Lancaster)大学があります。ヨーク観測所はSAMNET地磁気観測網のうちの
一つで、もともとはヨーク大学によって構築されたものなのですが、責任者がヨーク大学を退職した
ため、ランカスター大学が運営などを引き継ぐことになったとのことでした。現在は、Honary教授と
Marple博士がその任に当たられています。Honary教授とMarple博士は通信システム学部のスタッフで、
その研究グループ(写真1)は主にリオメーターを使って電離層を中心に研究されていますが、SAMNET
地磁気観測網のデータ管理・サービスやそのデータを使ってサブストーム時の磁場変動なども研究されて
います。1秒値の地磁気観測データは、インターネットを通してヨーク大学からランカスター大学へリアル
タイムで転送されています。データを受け取っているLinux計算機へのPi2検出ソフトウェアのインストール
は、滞りなく行えました。Pi2が検出された時には、その発生時刻や前後10分間の磁場データを電子メール
で京都大学へ送るように設定しておきます。地磁気緯度が56.2度とかなり高いためにPi2地磁気脈動以外の
地磁気変動も誤検出されてしまいますが、結果が京都大学に届くことを確認し、7月2日にランカスター大学
を後にしました。
 
     
写真1:ランカスター大学通信システム学部のスタッフと。
中央がHonary教授、その左がMarple博士。
 
 
ランカスター大学からヨーク大学へ行くには、イギリス中央部を南北に走るぺニン山脈を迂回する必要が
あるため、大変な時間がかかるそうです。そこで、ヨーク観測所をランカスター大学の隣の敷地へ移転する
計画が進められています。すでにテスト用の磁力計が設置されており、隣の敷地から大学へのデータ転送は
指向性を持った無線で行っていました。ただ、現在のテストサイトだと近くを走る道路の影響などで人工
ノイズが入ってくるそうです。
ヨーク観測所を含めSAMNET地磁気観測網のデータは、次のサイトから公開されています。
 http://www.dcs.lancs.ac.uk/iono/samnet/
 
 
ドイツ・フュルステンフェルドブルック観測所
 
7月2日にイギリスからドイツへ移動しました。目的地は、ミュンヘンから西に約30 kmの郊外にあるフュル
ステンフェルドブルック観測所です。この観測所は、常駐スタッフが2名いて、INTERMAGNETにもデータを
提供しているという立派なところです。地磁気観測以外にも地震観測も行っており、運営はミュンヘン・
ルードビッヒ・マクシミリアン大学(Ludwig-Maximillians-Universitat Munchen)によって為されています。
ここでの作業は、大学と観測所スタッフ兼任のMatzka博士に多大な協力をいただきました。観測データは、
敷地の隅におかれた磁力計から観測所内のWindows計算機にリアルタイムで送られています。Matzka博士に
は、Windows計算機から別に用意したLinux計算機へデータを同時転送してもらうように事前に依頼しておき
ました。
 
 
ここでのソフトウェアインストール作業も問題なく終了し、Pi2脈動検出結果の電子メールが京都大学へ
届くことを確認しました。ミュンヘンでは、オリンピックタワーの展望台から遠くに望めるアルプス山脈
の姿と地元ビールを楽しんだ後、7月9日に帰国しました。
 
 Matzka博士は今回の訪問の件を地元の新聞社に伝えていました。観測所に到着してから、新聞記者が取材
に来ることを聞かされて、ちょっと驚きましたが、インタビューは恙無く終わりました。図2は、取材の
翌日に地元誌に掲載された記事です。もちろん、ドイツ語で書かれていますが、前半部分を英訳すると
以下のようになります。
 Masahito Nose travelled from Japan for 5 days especially to install a new software at the Geophysical
  Observatory in Furstenfeldbruck. "With this, we can directly send the oscillations of the earth magnetic field
  which are measured here to Japan." explains the scientist from the
  University of Kyoto.
 
     
写真2:今回の訪問についてフュルステンフェルドブルックの地元紙(Boulevard Bruck誌)に掲載された
記事。2005年7月9-10日号。前面左がMatzka博士。
 
フュルステンフェルドブルック観測所のホームページアドレスを下に示します。地磁気データプロット
のアーカイブも整備されています。
 http://obsfur.geophysik.uni-muenchen.de/obs.htm
 
 
 
日本・柿岡観測所
 
9月5-6日の日程で茨城県の気象庁地磁気観測所を訪問し、Pi2地磁気脈動自動検出ソフトウェアのインス
トール作業を行いました。柿岡地磁気観測所では非常に質の高い観測が為されており、INTERMAGNETへも
データが提供されています。今回は観測課の大川氏にご協力を仰ぎました(写真3)。データ処理室に置か
れたヒューレット・パッカード社のワークステーションから磁場データがリアルタイムで参照できるように
システムの調整をしていただき、そこにソフトウェアおよび検出結果のメール送信などの設定を行いました。
6日は、各地に集中豪雨をもたらした台風14号が九州地方から近畿地方に近づいていたときだったので、
交通機関に影響が出ないうちに慌てて帰京しました。
柿岡地磁気観測所のホームページアドレスは次の通りです。
http://www.kakioka-jma.go.jp/index_j.html
 
 
     
写真3:柿岡地磁気観測所本館前にて、大川氏と。
 
 
アメリカ・ジョンズホプキンス大学応用物理研究所
 
9月13日に日本を出発し、アメリカ・ワシントンDC郊外にあるジョンズホプキンス大学応用物理研究所を
訪れました。磁力計は研究所敷地内の隅に設置されていました。この磁場観測点は、カリフォルニア大学・
ロサンゼルス校(UCLA)がアメリカ東海岸沿いに緯度方向に展開しているMEASURE地磁気観測網のうちの一つ
です。磁場データは、磁力計から内線電話を使ったモデム通信によって、研究所建物内のWindows計算機に
転送されています。データ処理の担当者である高橋博士とToth博士に依頼して、このWindows計算機から
計算機室のワークステーションへ磁場データがリアルタイムでコピーされるように設定しました。ワーク
ステーションへの検出ソフトウェアのインストールと検出結果の電子メール送信確認も無事早期に終了し、
9月19日にメキシコへ向かいました。
MEAURE地磁気観測網については、以下のホームページに詳細が書かれています。ホームページからプロット
やデータが利用できるようです。
http://measure.igpp.ucla.edu/index.html
 
 
メキシコ・テオロユーカン観測所
 
 
  テオロユーカン観測所はメキシコ国立独立大学(Universidad Nacional Autonoma de Mexico)により運営
されています。そのメキシコ国立独立大学で9月20-22日の日程でINTERMAGNET会議が開催されることになって
いたので、Pi2自動検出ソフトウェアをインストールすることに加えて、INTERMAGNET会議に出席してきました。
会議では、地磁気データフォーマット、新しい地磁気観測所の候補、地磁気データの配布など、磁場観測に
関するさまざまなことが議論されましたが、中でも印象的だったのは1秒値磁場データ観測についてのスタ
ンダードを決定する動きがあったことでした。会議の翌日の23日に、メキシコシティから北に車で2時間ほど
の距離にあるテオロユーカン観測所を訪問しました。この観測所もINTERMAGNETにデータを提供しています。
ここでは、メキシコ国立独立大学のスタッフで観測所の管理をしているCifuentes-Nava博士が惜しみなく
ご協力くださいました。観測所の敷地に置かれた磁力計からは観測データが観測室のWindows計算機へリアル
タイムで送られています。他の観測所と同様に、Windows計算機からLinux計算機へデータを同時転送して
もらい、そこでソフトウェアを走らせるようにしました(写真4)。データフォーマットの問題や観測所内
ネットワークの問題などで、メキシコ滞在中には動作確認ができませんでしたが、26日に帰国してから、
Cifuentes-Nava博士の協力の元、遠隔地操作で再設定を行い、無事検出結果が電子メールで送られてくる
ようになりました。
 
     
写真4:中央がCifuentes-Nava博士。左はPi2自動検出
ソフトウェアをインストールしたLinux計算機。
 
 
観測所の敷地にはサボテンが自生していたり、昼食はアルコールを摂りながら2時間くらいかけたり、夕食
は10時くらいから始めたりという、メキシコ的な風景・習慣を体験した旅でした。
テオロユーカン観測所のホームページアドレスは以下のとおりです。
http://www.igeofcu.unam.mx/geomagne/omt/evomt.html
 
 
 以上のインストール旅行を終えてから、京都大学側のサーバー構築を行いました。このサーバーでは、
各観測所から届いた電子メールを処理し、Pi2地磁気脈動の検出結果と波形をWWWでリアルタイム表示して
います。
 
     
図3:リアルタイムPi2地磁気脈動検出結果表示WWWページ
 
図3は、2006年1月30日0044UT時点でのPi2地磁気脈動検出結果表示です。ヨーク観測所で、0010UTに振幅
約2 nTのPi2地磁気脈動が観測されたことが分かります。ここでは隠れていますが、他の観測所の検出も
下のほうに表示されています。(フュルステンフェルドブルック観測所でも、同時刻にPi2が観測されて
いました。) また、2日前までの検出結果も見ることができます。
リアルタイムPi2地磁気脈動検出結果のWWWアドレスは、次のとおりです。
http://swdcli40.kugi.kyoto-u.ac.jp/pi2/
 
 
[謝辞]
今回のシステム構築に関しては、平成17年度科学研究費補助金(若手研究(B))から多大な援助を受けました。
 
[参考文献]
Nose, M., T. Iyemori, M. Takeda, T. Kamei, D. K. Milling, D. Orr, H. J. Singer, E. W. Worthington, and N.
Sumitomo, Automated detection of Pi 2 pulsations using wavelet analysis: 1. Method and an application for
substorm monitoring, Earth Planet. Space, 50, 773-783, 1998.
 
 
                                                       (地磁気世界資料解析センター・能勢 正仁)
 
 
 
5.地磁気世界資料解析センター活動報告(2005年1月−12月)
 
 (1)収集・発送(最近5年間)
 
                       2001年    2002年    2003年    2004年     2005年
【収集】
      マイクロフィルム     6本        11本     12本        10本      5本
      マイクロフィッシュ     7枚          5枚     3枚          3枚        3枚
      データブック     120冊        60冊    40冊        35冊         30冊
   データシート      400枚      400枚   250枚      300枚       200枚
 
      ディスク類           91枚     60枚        40枚        35枚         50枚
      マグネトグラムの画像データ化                                        130年×観測所
 
      ネットワーク     2000MB   4000MB       6GB          8GB           8GB
【発送】
      データブック      464冊      900冊      400冊      430冊        970冊
      データシート    3500枚  3500枚  3900枚    4400枚     4000枚
      ディスク類           56枚     80枚        15枚     44枚          19枚
 
   WWWホームページ
   リクエスト    1911K     3149K    3049K    3669K    4368K
   転送量            9400MB        26200MB     33600MB        41470MB     52153MB
 
     地磁気データのホームページからのリクエスト件数
     地磁気1時間値     3418      6254       4895    4889       9935
     地磁気1分値      8186    15055     16149   14022     17979
     地磁気1秒値      3396    2536       4338      7929      9318
     KP指数              2309    2124       2195      2894      3330
 
 
  (2)印刷・出版
 
       (ア)データブック
       Mid-latitude Geomagnetic Indices ASY and SYM (Provisional) No.15(2004)
             Provisional Geomagnetic Data Plots No.30,31 (July 2004 - June 2005)
       (イ)データシート
           Provisional Dst Index (October 2004 - August 2005)
       (ウ)ニュース
           地磁気世界資料解析センターニュース (No.89 - No.94)
       (エ)データカタログ(No.27)
       (オ)理科年表2006への図面・データ提供
 
 
 (3)職員・非常勤職員 
    職員
       センター長    家森 俊彦        iyemori@kugi.kyoto-u.ac.jp       (075)753-3949
        助手      亀井 豊永           toyo@kugi.kyoto-u.ac.jp            	-3937
        助手      竹田 雅彦        takeda@kugi.kyoto-u.ac.jp           	-3947
        助手      能勢 正仁       nose@kugi.kyoto-u.ac.jp            	-3959
        事務補佐員   武内 典子       noritake@kugi.kyoto-u.ac.jp            	-3929
        技術補佐員   小田木洋子        odagi@kugi.kyoto-u.ac.jp            	-3648
 
    非常勤講師
        藤 浩明(富山大学 理学部)
 
    非常勤研究員(COE)
 
        McCreadie, Heather                    bilby@kugi.kyoto-u.ac.jp     (075)762-2019
 
 
 
 
 
     
「マリエン橋から見たノイシュバンシュタイン城」
 
 
     
「オリンピックタワーからミュンヘン市街とアルプス連峰を望む」