News and Announcements [in Japanese]
地磁気センターニュース
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地磁気世界資料解析センター News No.88 2004年11月30日
1.新着地磁気データ
前回ニュース(2004年9月30日発行, No.87)以降入手、または、当センターで入力したデータの
うち、主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細は
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html) を、観測所名の省略記号等については、観測所カ
タログ(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。
また、先週の新着オンライン利用可データは、
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html)で御覧になれ、2ヶ月前までさかのぼること
もできます。
Newly Arrived Data
(1)Annual Reports and etc.
AMS, BNG, CLZ, CZT, DRV, KOU, MBO, PAF, PHU, PPT, QSB,
TAN (2000 - 2001), HAN, OUJ, NUR, SOD (Sep.- Oct., 2004)
(2)Normal Run Magnetogram
NOR, OUJ, HAN, SOD (Sep., 2000), WNG (1952 - 1956, 1971, 1976-78, 1997)
ABG, NGP, PND, SIR, TIR, TRD UJJ, VSK (1999), WNG (1997)
(3)Rapid Run Magnetogram
WNG (1999 - 2000)
(4)Kp index: (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
Sep., Oct., 2004
2.Dst指数、AE指数とASY/SYM指数
Quick Look Dst指数 (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/dstdir/dst1/quick.html) 、および Quick Look
AE指数 (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aedir/ae/quick.html) は1日以内の遅れで当センターのホームペ
ージから利用できます。また、2004年8〜10月分の1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せ
ました (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html)。
3.Provisional Geomagnetic Data Plots について
世界各地で測定された地磁気1分値データをプロットしたProvisional Geomagnetic Data Plotの2004年
10月までのポストスクリプトファイルが利用できるようになりました。図の形式は2日分が1画面です。
(ftp://swdcftp.kugi.kyoto-u.ac.jp/data/pplot) 。
4.地磁気豆知識(15)地磁気極、磁極とそれらの永年変化
こちらにより詳しい解説があります。
地磁気極 (Geomagnetic pole) は、地球磁場を地球中心にある双極子による磁場で近似したときのその
双極子の軸と地表との交点のことで地磁気双極子極ともよばれ、また地磁気緯度
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/igrf/gggm/gmexp-j.html) の極ともなっている。地磁気極は南北両半球に1
つづつ、地球中心に対して互いに反対側にあり、それそれ地磁気北極、地磁気南極と呼ばれるが、磁石と
してはそれぞれS極、N極になる。それらの位置は地磁気永年変化により年0.01〜0.05度程度移動してい
るが(表1)、2000年のIGRFによると北緯795度、西経71.6度のグリーンランド北西端付近と、南緯79.5度
、東経108.4度の南極大陸の太平洋寄りである。
これに対して観測で求められた磁極というのがあり、特に磁北極についてはGeological Survey of Canada
(http://www.geolab.nrcan.gc.ca/geomag/)が測量を行っている
(http://www.geolab.nrcan.gc.ca/geomag/northpole_e.shtml)。それによると2001年には北磁極は北緯81.3度、
西経110.8度にあった。一方、磁南極は南緯64.7度、東経138.0度にあったとされる。
表にあるように磁極は地磁気極はかなりずれているが、地磁気極と同様に永年変化により移動するほか
日変化も数十kmある。特に近年磁北極の動きが緯度で0.5度近く、経度で年1度位と速くなってきて
いるのが注目される。
なお、方位磁石の針の指す北は、より小規模な地磁気分布の影響を受けるので、地磁気北極と磁北の
どちらとも異なる。この磁石の針の指す北を地理極から東向きに測った角度は地磁気要素
(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/element/eleexp-j.html) の一つである偏角であるが、現在日本付近では地
磁気極、磁北極どちらも地理極の東にあるにもかかわらず偏角は負、つまり磁石のN極は地理極よりも西を
指している。
年 地磁気極 磁極
1900 78.6N 68.8W 78.6S 111.2E 70.5N 96.2W 71.7S 148.3E
1905 78.6N 68.7W 78.6S 111.3E 70.7N 96.5W 71.5S 148.6E
1910 78.6N 68.7W 78.6S 111.3E 70.8N 96.7W 71.2S 148.7E
1915 78.6N 68.6W 78.6S 111.4E 71.0N 97.0W 70.8S 148.5E
1920 78.6N 68.4W 78.6S 111.6E 71.3N 97.4W 70.4S 148.2E
1925 78.6N 68.3W 78.6S 111.7E 71.8N 98.0W 70.0S 147.6E
1930 78.5N 68.3W 78.5S 111.7E 72.3N 98.7W 69.5S 147.0E
1935 78.5N 68.4W 78.5S 111.6E 72.8N 99.3W 69.1S 145.8E
1940 78.5N 68.5W 78.5S 111.5E 73.3N 99.9W 68.6S 144.6E
1945 78.5N 68.5W 78.5S 111.5E 73.9N 100.2W 68.2S 144.5E
1950 78.5N 68.8W 78.5S 111.2E 74.6N 100.8W 67.9S 143.6E
1955 78.5N 69.2W 78.5S 110.8E 75.2N 101.4W 67.2S 141.5E
1960 78.5N 69.5W 78.5S 110.5E 75.3N 101.0W 66.7S 140.2E
1965 78.5N 69.9W 78.5S 110.1E 75.6N 101.3W 66.3S 139.5E
1970 78.6N 70.2W 78.6S 109.8E 75.9N 101.0W 66.0S 139.4E
1975 78.7N 70.5W 78.7S 109.5E 76.2N 100.7W 65.7S 139.5E
1980 78.8N 70.8W 78.8S 109.2E 76.9N 101.7W 65.4S 139.3E
1985 79.0N 70.9W 79.0S 109.1E 77.4N 102.6W 65.1S 139.1E
1990 79.1N 71.1W 79.1S 108.9E 78.1N 103.7W 64.9S 138.9E
1995 79.3N 71.4W 79.3S 108.6E 79.0N 105.2W 64.8S 138.7E
1996 79.4N 71.4W 79.4S 108.6E 79.4N 106.0W 64.8S 138.7E
1997 79.4N 71.5W 79.4S 108.5E 79.8N 106.8W 64.7S 138.5E
1998 79.5N 71.5W 79.5S 108.5E 80.2N 107.7W 64.7S 138.5E
1999 79.5N 71.5W 79.5S 108.5E 80.7N 109.0W 64.7S 138.4E
2000 79.5N 71.6W 79.5S 108.4E 81.0N 109.7W 64.7S 138.4E
2001 79.6N 71.6W 79.6S 108.4E 81.4N 111.0W 64.6S 138.2E
2002 79.6N 71.7W 79.6S 108.3E 81.9N 112.6W 64.6S 138.1E
2003 79.7N 71.7W 79.7S 108.3E 82.3N 114.0W 64.6S 138.0E
2004 79.7N 71.8W 79.7S 108.2E 82.8N 116.3W 64.6S 138.0E
2005 79.7N 71.8W 79.7S 108.2E 83.2N 118.0W 64.5S 137.8E
表.1: IGRFモデルに基づく1900〜2005年の地磁気極と磁極の位置。
2001年以降はモデルによる予測値
<1900年から2005年までの磁北極(右)と磁南極(左)>
5.第11回IAGA地磁気観測所ワークショップが開かれました
英文名(11th IAGA workshop on Geomagnetic observatory, instrument, data acquisition
and processing)会議が2004年11月9日から17日まで、柿岡地磁気観測所とつくば文部科学省研究交流
センターで開かれ、75名を越す外国からの地磁気観測関係者、ほぼ同数の日本の地磁気観測・利用者の
参加を見ました。 この会議は二年に一度、地磁気観測(特に技術)に携わる人々がお互いの測器を
持ち合って比較する測器 session とその装置の報告、観測配置、観測データの問題について討議する
講演セッションがありました。いきおい Science に傾きがちなIAGAの正式会議と、少数観測者だけが
出席する今までの Workshop の壁を打ち破り、今まで顔を合わせるのが難しい観測者と利用者の共同
の場として成功を収めたと思います。地磁気センターではこの workshop のLOCの一部を担当し、Web
環境を提供し、日本では手に入りにくい海外のPC環境を提供しました。日本の関係者には大変ご苦労
をおかけしました、地磁気センターからもお礼を申し上げます。会議の様子は
http://kakioka2004ws.org の写真で御覧になれます。詳細は次号でお伝えしたいと思います。なお、
次回の workshop は二年後に Poland の Belsk観測所で行われる予定です。
<柿岡地磁気観測所内のバーベキューパーティー> <トレーニングセッションの風景>
6.INTERMAGNET国際会議が開かれました
IAGA地磁気観測workshop に引き続き、2004年11月18日から20日まで、Hiraiso-GIN を担当する
情報通信研究機構(NiCT)のお世話でINTERMAGNET国際会議が開かれました。外国から20人程度でした
が、皆さん大柄な人で、荷物なしで24人乗りエレベーターに17人で重量オーバーという状況で、つく
ばから宿舎の国分寺までの移動はラッシュアワーと重なり一騒動でした。かなりの OPSCOMメンバーが
入れ替わりました。特記すべきことは、イースター島の地磁気観測所設立をフランスが担当していた
のですが、フランスはこの設立を断念しました。日本で設立できないかとの打診がありました。なお
イースター島用に用意したサーベイデータ、DI-Flux装置などはフランスから提供を受けることが出来
ます。Dstデータとしても興味のある場所ですので、ほかに興味のあるかたがたがあれば一緒に設立に
協力したいとおもいます。なお、次回のINTERMAGNET国際会議はメキシコで2005年9月に開かれる予定
です。