News and Announcements [in Japanese]
地磁気センターニュース

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地磁気世界資料解析センター News No.83 2004年1月28日
 
 
1.新着地磁気データ
 
      前回ニュース(2003年11月30日発行, No.82)以降入手、または、当センターで入力したデータの
  うち、主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細は
  (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html) を、観測所名の省略記号等については、観測所カ
  タログ(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。
  また、先週の新着オンライン利用可データは、
  (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html)で御覧になれます。
 
 
      Newly Arrived Data
        (1)Annual Reports and etc.
                 SOD, OUJ, HAN, NUR(Nov., 2003), AQU(2002), LRV(2002), NGK (Sep.- Oct., 2003)
 
 
        (2)Digital Data
          オンライン利用データカタログ (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html)
	 及び新着オンライン利用可データ
         (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.html) をご参照願います。
 
 
        (3)Kp index: (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
                 Nov. - Dec., 2003
 
 
 2.1時間値Dst指数とASY/SYM指数
 
      2003年7月〜2003年10月のDst指数 (Provisional) 及び、2002年Final DSTを算出し、関係機関に
  配布しました。ご希望の方は、郵便またはファクシミリにて当センターまでお申し込み下さい。なお、
  Quick Look Dst指数(http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/dstdir/dst1/quick.html) および
   Quick Look AE指数 (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aedir/ae/quick.html) は1日以内の遅れで当センタ
  ーのホームページから利用できます。また、2003年9〜12月分の1分値ASY/SYM指数を算出しホー
  ムページに載せました (http://swdcwww.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html)。2003年分を載せた
  「MID-LATITUDE GEOMAGNETIC INDICES ASY and SYM(PROVISIONAL)No.14 2003」も近日中
  に印刷、配布予定です。
 
 
3.Provisional Geomagnetic Data Plots について
 
  世界各地で測定された地磁気1分値データをプロットしたProvisional Geomagnetic Data Plotの2003年
9月から12月までのポストスクリプトファイルが利用できるようになりました。図の形式は2日分が1画
面です。(ftp://swdcftp.kugi.kyoto-u.ac.jp/data/pplot)
また、2003年7月から12月分を載せた、Provisional Geomagnetic Data Plots No.28 (Jul.-Dec.,2003)
も近日中に印刷、配布予定です。新たに配布御希望の方は、センターまでお申し込み下さい。
 
 
4.地磁気世界資料解析センター活動報告(2003年1月−12月)
 
           京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター(2003年12月5日)
 
   1)収集・発送(最近5年間)
【収集】
 
   マイクロ フィルム    2本         4本           6本         11本     12本
   マイクロフィッシュ   12枚       30枚           7枚           5枚     3枚
   データブック      80冊     120冊        120冊        60冊    40冊
   データシート     700枚     500枚        400枚       400枚   250枚
 
   磁気テープ         0本         0本          12本        0本     0本
   磁気ディスク        30枚        5枚           0枚      24枚        30本
   光ディスク           30枚       50枚         91枚      36枚        10枚
   オフラインデータ		                             25GB	    30GB
 
   ネットワーク      1100MB   1100MB     2000MB     4000MB       6GB
 
【発送】
  データブック     1300冊     700冊        464冊       900冊
   データシート      3500枚   3500枚      3500枚   3500枚  3500枚
   ファックス等             8枚       52枚            0枚           0枚       100枚
 
   フロッピーディスク       0枚         0枚            0枚      0枚          5枚
   光ディスク             42枚     154枚          56枚     80枚        10枚
 
  WWWホームページ
        850Kリクエスト  1840Kリクエスト  1911Kリクエスト  3149Kリクエスト 3049Kリクエスト
                        10600MB       16500MB         9400MB       26200MB       33600MB
 
  地磁気データのホームページからのリクエスト件数
  地磁気1時間値       1509     1131       3418       6254    4895
  地磁気1分値        11147     8652      8186    15055   16149
  地磁気1秒値          1709    16326     3396     2536      4338
   KP指数               2079      2290        2309       2124      2195
 
  2)印刷・出版
    (ア)データブック
    Mid-latitude Geomagnetic Indices ASY and SYM (Provisional) No.13(2003)
        Provisional Geomagnetic Data Plots No.26,27 (July 2002 - June 2003)
     (イ)データシート
        Provisional Dst Index (December 2002 - September 2003)
     (ウ)ニュース
        地磁気世界資料解析センターニュース (No.77 - No.82)
 
 
5.HFドップラ−事始め
 
  私は旧制中学校時代から、ラジオ組み立てが趣味であったが、旧制高等学校の昭和18年末ごろ大本
営発表に疑問を持ち始めた。そこで当時は違法であった短波受信機を組み立て、毎日のように敵の放送を
聞いていた。19年6月には連合軍のノルマンジー上陸があり、第2次世界大戦は我が国を含む枢軸国の
敗北で終わると判断した。京大物理学科の学生だった20年初めには我が国の大都市への空襲が始まり、
京都にも僅かではあったが爆弾が投下された。それで大学を休学して帰郷した。20年7月の連合国の
ポツダム宣言で、我が国の降伏が要求されたのを聞き、戦争もこれで終わると安心した。しかし、我が
国の政府と軍の決断があまりにも遅く、広島と長崎の悲劇およびソ連の参戦を招いたのは、誠に残念に
思った。
 
  このように私は電波が持っている情報の伝達能力を痛感したので、卒業研究のテーマは当時最短波長
だったマイクロ波による分光学を希望し、物理学第3講座(電磁気学)の教授にご相談した。敗戦後2年
余りの頃だった。教授は今すぐには無理であるがそのうちに考えよう、と言って下さった。24年春すべ
て手作りではあったが、我が国で最短波長での研究を開始した。翌25年には当時全国のマイクロ波中継
を計画されていた電気通信研究所より、前田憲一基礎研究部長(当時)と吉田研究所長が視察に来て下さ
った。前田先生のお名前は電波伝搬の著書で存じていたので、大変光栄に思った。また、電波監理総局
電波部標準課長(当時)および課員が来られ、原子時計の共同研究のお申し出があった。この研究はその
後大学、管理局、メーカーを含む大規模の総合研究組織となり、種々の時計が試作された。私は簡単な
制御ループを考案し、長時間の連続動作が出来る装置を完成した。
 
  原子時計の長時間テストを繰り返すうちに、30年の終わりごろ奇妙な現象に気がついた。短波標準
電波JJYと原子時計の比較データを見ると昼間と夜間では相互安定度が非常に違っていた。当時は電力
事情が悪く電圧変動が大きかったので、最初はそれが原因ではないかとも考えた。しかし前に述べたよう
に短波(HF)受信の経験があったので、昼間はE層反射で、夜間はF層反射であってドップラー効果の
差とわかった。
 
 
 
        
 
 
 
                <原子時計と標準電波との比較:1956年11月10日 ( A点は日出時刻 )>
 
 
 
  32年には同志社大学で長期間連続観測が可能な装置を製作して観測を開始し、翌33年の
Proc.IRE(現IEEE)に発表した。観測目的として、(1)短波周波数標準の遠距離における有用性、
(2)単側波帯通信(SSB)の精度、(3)電離圏の短時間微少変動、を挙げた。
その約2年後、米国スタンフォード大学と連邦標準局(NBS)で同様の観測が開始され、以後我が国を
はじめ、ヨーロッパ諸国、インド、カナダ、アフリカ、ブラジル、ソ連、オーストラリア、中国、南極
などに広がった。そして、太陽フレア、日食、地磁気嵐、大気重力波、火山噴火、原水爆、地震、台風
などによる電離圏擾乱の詳細が明らかになってきた。
 
 
 
        
 
                       <連続観測の一例:1957年11月2日>
 
 
 
        
 
                       <部分日食時の観測:1958年4月19日>
 
 
 
  このように、最初はほとんど偶然の機会から興味ある現象が観測出来て幸いであった。今後も出来る
限り観測を続け、新しい現象を見いだしたいと思っている。
 
                                                                 小川徹(京都大学名誉教授)