1998: No. 47 [Jan],
No. 48 [Mar],
No. 49 [May],
No. 50 [Jul],
No. 51 [Sep],
No. 52 [Nov]
1999: No. 53 [Jan],
No. 54 [Mar],
No. 55 [May],
No. 56 [Jul],
No. 57 [Sep],
No. 58 [Nov]
2000: No. 59 [Jan],
No. 60 [Mar],
No. 61 [May],
No. 62 [Jul],
No. 63 [Sep],
No. 64 [Nov]
2001: No. 65 [Jan],
No. 66 [Mar],
No. 67 [May],
No. 68 [Jul],
No. 69 [Sep]
★地磁気センターニュース No.70/2001年11月30日★ 1.新着地磁気データ 前回ニュース(2001年9月28日発行, No.69)以降入手、または、当センターで入力したデータの うち、主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細はhttp://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catm ap/index-j.htmlを、観測所名の省略記号等については、観測所カタログ(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/cp atmap/obs-j.html) をご参照ください。 Newly Arrived Data (1)Analogue Data Annual Reports and etc. Finnish Obs (SOD, HAN, OUJ, NUR, Aug.-Oct. 2001 ) NGK(Sep.-Oct. 2001), KIR(2000), MMB,KAK,KNT,CBI(2000), LRV(2000) (2)Digital Data Geomagnetic Hourly Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/hyplt/index-j.html) KAK,MMB(Sep.-Oct. 2001), ABG,AMT,BRW,CLF,CSY,DVS,FUQ,GUI,HER, HON,KOU,NCK,NGK,PHU,PPT, SJG,SOD,SUA,TAM,TRW,TSU,TUC,VSS(2000) GRM(1974-80), SNA(1984-89), VLJ(1923-24), HTY(Sep.2001) Geomagnetic 1 Minute Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/mdplt/index-j.html) KAK,MMB,(Sep.-Oct. 2001), VAL(Sep.-Oct. 2001), CSY(1999-2000) DVS(2000), THL(Aug.-Oct.2001), TSU(2000), GDH(Aug.-Sep.2001) LRV(Oct.2001), NAQ(Aug.-Sep. 2001), HTY(Sep. 2001) Geomagnetic 1 Second Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/index-j.html) KAK,KNY,MMB(Sep.-Oct. 2001), HTY(Sep. 2001) (3)Kp index: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html) Sep.-Oct. 2001 2.一時間値Dst指数の算出と配布・1分値ASY/SYM指数の算出 2001年 8 月〜9 月のDst指数(Provisional)を算出し、関係機関に配布しました。ご希望の方は、郵 便またはファクシミリにて、当センターまでお申し込み下さい。なお、Quick Look Dst指数 (http://swdc db.kugi. kyoto-u.ac.jp/dstdir/dst1/quick.html)および Quick Look AE指数 (http://swdcdb.kugi. kyoto-u.ac.jp/aedir/ae/quick.h tml) は2〜3日の遅れで当センターのホームページから利用できます。 また、2001年10 月分の1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せました。 3.銀川(中国)地磁気観測所訪問および磁力計設置報告 9月24日から30日まで中国に出張し、中国寧夏自治区地震局銀川(Yinchuan--YCB)地磁気観測所 を訪問してフラックスゲート磁力計を設置し、1秒値磁場観測を開始したので報告する。昨年11月 のウルムチ訪問および磁力計設置と同様、今回も中国語がペラペラの朝日大学経営学部講師の佐納 康治講師に同行をお願いした。また、北京にある中国地震局地球物理学研究所の高玉芳(Gao Yufen) 教授のグループから、韓徳勝(Han Desheng)氏が同行した。 銀川地磁気観測所は地理緯度38.5度、経度106.3度にあり、北京とウルムチの間に位置する。 北京から飛行機で約2時間、砂漠の中にある新しいが簡素な銀川空港に到着した。しかし、空港か ら出て黄河を渡ると、うす茶色の世界地図から予想していた荒涼たる砂漠の風景とは全く異なり、 緑豊かな畑と取り入れを控えた田んぼが広がった。説明によると、銀川市は島根の姉妹都市として 日本から米作りに関する技術的協力を得ているそうで、レストランで食べたライスは、日本と確か に同じ味がした。 銀川市は、寧夏(回族)自治区の省都であり、イスラム教徒が約20%を占めているそうで、ウ ルムチほどではないが、漢民族とは異なるどことなくエキゾチックな風貌の人をときどき見かける。 かつて明や宋の時代、この地には漢字を組み合わせた複雑極まりない『西夏文字』で有名な西夏王 朝が存在し、西夏王陵等そのころの遺跡が散在している。センサー室からメインのビルまで深さ約 50cmの溝を掘って、パイプに通したケーブルを埋設し、竣工したばかりのビルの壁に穴を開けたり していると、設置完了までに意外と日数を要した。滞在最終日にようやく半日ほど余裕ができたの で、あいにくの雨の中を西夏王陵まで案内してもらった。市は観光にずいぶん力を入れているよう で、市中心部から10kmほど郊外にある王稜まで、立派な観光用の道路が建設中であった。 観測所はほとんど市内といってよい町はずれにあり、すぐそばには、海宝塔と呼ばれる高さ約50m 余りの石と煉瓦でできた美しい塔が寺の中にそびえ立っている。しかし、電車は走っていないので、ノイ ズは非常に少なく電磁気的観測にはうらやましい環境にある。 ただ、図1に示すように、半地下のセンサー室およびすぐ横の絶対観測室の周囲を池が取り囲んでいて、 地下室の湿気とともに、池の水およびその変動が観測にどのような影響を及ぼすか多少気にかかる。 このような池が作られている理由は、観測所の土地を釣り堀業者等に貸して、一定額以上の金を稼ぐ ことが寧夏自治区地震局からノルマとして課されているそうで、昨今の我が国の国立大学や研究機 関をとりまく動きを想起させられた。もちろん、釣り堀があり、その魚を食べるモンゴルのテント 式住居(パオ)風のレストラン、おまけに釣り堀客相手の焼鳥屋までが約150m四方の観測所内に 存在するというのは楽しい限りではありますが・・・ 我々が持ち込んだフラックスゲート磁力計(DMI製)は、最初はセンサー室の片隅に置かれたが、 我々が帰国後、観測を開始してちょうど1ヶ月経った10月27日に正式なピラーの上に移動したと の連絡があった。(この日のデータに少しジャンプが見られるのはその理由による。)磁力計から のデータは約80m余り離れたメインのビルに置いたノートブックPCに記録している。時刻合わせ はGPSを用い、ノートPCのハードディスクに1秒値と1分平均値を記録、1分値に関しては、現 在、1日−3日毎にインターネット経由で京都に送られている(図2)。1秒値については、Zip ディスクに記録して、1ヶ月程度毎に郵送される予定であり、これは昨年設置したウルムチと同様 であるが、将来、ネットワーク事情が良くなればリアルタイムで取れることを期待している。 今回の銀川、昨年のウルムチに続いて、更にこのネットワークを西に延ばし、日本から中国・中央ア ジアを横切り、シルクロード沿いに西ヨーロッパまでユーラシア大陸を横断して高精度磁力計を置くこと ができれば、空前の長大な東西方向の磁力計ネットワークとして、さまざまな目的の研究に用いることが できると考えている。 なお、今回の出張に際しては、平成13年度平和中島財団『アジア地域研究助成金』を使わせ ていただいた。 (家森俊彦)図1 銀川地磁気観測所見取り図。 図2 銀川で観測した2001年10月の地磁気変化。10月27日のZ成分のジャンプは、センサーの移動 正式なピラーの上に乗せた)による。 4.地磁気豆知識(14) 国際標準地球磁場(IGRF)モデルについて 当センターのホームページで提供している国際標準地球磁場(IGRF)モデル (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/igrf/index-j.html)について簡単な解説をする。 地磁気の分布は、磁気測量した値を地図上に等高線で表示する場合(磁気図)と、数式で表現する場合 (磁場モデル)がある。後者のうち、全地球的スケールでの分布を表現するモデルとして最もよく使われ るのが国際標準地球磁場(IGRF--International Geomagnetic Reference Field)である。 このモデルでは、磁場分布を表現するため1838年に数学者ガウスが考案した球関数を用いて地磁気の スカラーポテンシャルを展開する(球関数展開 -- spherical harmonic expansion)。展開係数は、世界各地の 地磁気観測点や、航空機、船舶による観測、さらに最近では人工衛星により得られた観測データに対し、 関数値との差が最小になるよう決定される。IGRFは、球関数の次数N=10までの展開係数を数値表の形 で与えていて、5年毎に国際地球電磁気超高層物理学協会 (IAGA--International Association of Geomagnet ism and Aeronomy) の分科会に設置された作業委員会(WGV-8)で決定される。現時点では、1900年以降20 00年まで作成されている。より詳しくは、EPS誌 (Earth, Planets and Space) Vol.52, No.12, 2000 や 理科 年表(丸善)、IAGAホームページの解説(http://www.ngdc.noaa.gov/IAGA/wg8/igrf.html)を参照されたい。 なお、N=10までの展開係数を用いても、空間的分解能はせいぜい1000-2000km程度であり、局所的な 磁気異常は表現できていないので注意を要する。そのため、特定の地域にのみ適用されるモデルが作成さ れる場合があり、例えば、国土地理院が作成した日本列島の地磁気モデル値などが公開されている (http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/magnet/calcframe.html)。