News and Announcements [in Japanese]


★ Back Numbers ★

1998: No. 47 [Jan], No. 48 [Mar], No. 49 [May], No. 50 [Jul], No. 51 [Sep], No. 52 [Nov]
1999: No. 53 [Jan], No. 54 [Mar], No. 55 [May], No. 56 [Jul], No. 57 [Sep], No. 58 [Nov]
2000: No. 59 [Jan], No. 60 [Mar], No. 61 [May], No. 62 [Jul], No. 63 [Sep], No. 64 [Nov]
2001: No. 65 [Jan], No. 66 [Mar], No. 67 [May]

★地磁気センターニュース No.68/2001年7月30日★

1.新着地磁気データ
    前回ニュース(2001年5月25日発行, No.67)以降入手、または、当センターで入力したデータのうち
主なものは以下のとおりです。オンライン利用データの詳細はhttp://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j
htmlを、観測所名の省略記号等については、観測所カタログ(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.h
ml) をご参照ください。

      Newly Arrived Data
        (1)Analogue Data
      Annual Reports and etc.
                HER(2000), French Obs(AMS, BNG, CLF, CZT, DRV, KOU, MBO, PAF, PHU,
                PPT, TAN, 1995-99), NGK(May-June 2001), AQU(2000)
                Finnish Obs(SOD, OUJ, HAN, NUR, May-Jun 2001)
                Australian Obs.(KDU,CTA,LRM,ASP,GNA,CNB,MCQ,NAW,CSY,DVS, 1998)
                WMQ(1996-98), CNH(1989-97), SSH(1996-97), WHN(1996-97), GZH(1995)
                LZH(1995-96), THJ(1996-98), QZH(1996-97), KSH(1996-98), QIX* (1996-98)
                GLM* (1994-98)

        (2)Digital Data
      Geomagnetic Hourly Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/hyplt/index-j.html)
                AML(1962-63), KAK,MMB,KNY(May-June 2001), 75-observatories x year,
                HTY(May 2001), NAQ,THY,ASP,LER, HAD,ESK,SBA(2000)
                MCQ,MAW(1988), THJ(1995-2000), WHN(1995-2000), CBI(2000)

            Geomagnetic 1 Minute Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/mdplt/index-j.html)             
                DOU(2000), HRN(1999-2000), BJN(1999-2000), HTY(May 2001), MAB(2000)
                TRO(1999), KAK,MMB,KNY(May-June 2001), MCQ,MAW(1998)
                CTA(1998-2000), LRM(1999-2000), MCQ(1994), CBI(2000)

            Geomagnetic 1 Second Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/index-j.html)              
                KAK,MMB,KNY(May-June 2001), HTY(May 2001)

        (3)Kp index: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
                May-June 2001

         *新観測所
             QIX :  Qianling ,  GGlat.34.6 ,  long.108.2 ,  Gmlat,23.4
             GLM :  Golmud ,  GGlat.36.4 ,  long.94.9 ,  Gmlat. 25.7
             なお、この観測所自身はGRMを用いているが、他と重なるので
             当センターではGLMを用いている。

2.一時間値Dst指数の算出と配布・1分値ASY/SYM指数の算出
    2001年4 月〜5 月のDst指数(Provisional)を算出し、関係機関に配布しました。ご希望の方は、郵便ま
たはファクシミリにて、当センターまでお申し込み下さい。なお、Quick Look Dst指数 (http://swdcdb.kugi.
yoto-u.ac.jp/dstdir/dst1/quick.html)および Quick Look AE指数 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp
/aedir/ae/quick.html) は2〜3日の遅れで当センターのホームページから利用できます。また、1981〜1983年
及び2001年6月分の1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せました。

3.2000年1年間分の当センターホームページからの地磁気観測所アーカイブデータサービス統計

☆地磁気1分値
データの年別リスト (1981-2000年)
DATA == 4335
GIF PLOT == 3654
PS PLOT == 567


☆地磁気1時間値データの年別リスト (1981-2000年) 
DATA == 929   
GIF PLOT== 168 
PS PLOT== 46
     

観測所別リスト (上位20)

*地磁気1分値                                *地磁気1時間値
KAK     : Kakioka == 1280                     KAK      : Kakioka == 98
KNY     : Kanoya == 794                       API      : Apia == 81
MMB     : Memambetsu == 609                   GUA      : Guam  == 53
ABG     : Alibag == 339                       BNG      : Bangui  == 48
HUA     : Huancayo == 318                     KNY      : Kanoya == 47
HTY     : Hatizyo == 239                      BRW      : Barrow == 46
LNP     : Lunping == 237                      AAA      : Alma Ata  == 44
AAE     : Addis Ababa == 219                  GWC      : Great Whale River  == 39
THL     : Thule / Qanaq == 210                ABG      : Alibag == 37
LRV     : Leirvogur == 203                    HON      : Honolulu  == 34
VAL     : Valentia == 174                     ASH      : Ashkuhabad  == 28
HER     : Hermanus == 174                     PPT      : Papeete == 26
NAQ     : Narsarsuaq == 155                   AAE      : Addis Ababa == 24
DRV     : Dumont d'Urville == 143             BJI      : Beijing == 24
GDH     : Godhavn == 143                      SPA      : South Pole == 23
ABK     : Abisko == 142                       CCS      : Cape Chelyuskin == 22
CMO     : College == 132                      ARS      : Arti == 19
AML     : Amberley == 125                     TRD      : Trivandrum == 19
ANC     : Ancon == 111                        HER      : Hermanus == 15
SOD     : Sodankyla == 111                    TTB      : Tatuoca == 14
 
4.海流による発電

  海岸近くで電磁場を観測すると、潮にあわせた奇妙な変動が見られることがあります。例えば、火山活
動を探るために設けた三宅島の全磁力観測点では、黒潮の流れる位置が島に近づいたり遠ざかったりする
たびに、数nTの緩やかな変動を記録します。その他、海底電話線を敷設する技術者の間では、潮の速
い地域では異常な電流が流れて電話線が傷むことが古くから知られていました。
 これらの現象は、良導体である海水が地球磁場の中を流れることによってダイナモ発電を引き起こして
いるからだと考えられています。ダイナモ電流を使って水の流れを測る可能性に初めて気がついたのはフ
ァラデーで、彼はテムズ川に電極を入れて速度場を計測する実験を行ったそうです。電極の性能に問題が
あり実験自体は失敗しましたが、その後多くの人々によって研究が続けられ、だんだんと現象の理解がす
すんできました。真水より電気伝導度が高い海水の流れの場合、現在の観測技術を使えば、黒潮や潮汐な
どの巨大な強い流れだけでなく、緩やかな流れによる電磁場もノイズが少ない地域なら観測することがで
きます。
 1990年代初めには、とりたてて強い海流のない北太平洋で、海底での電場と海水の速度の同時観測が
行われ、それらの比較によって、海底の電場の2日より長い周期の変動はセンサーの上を通過した海水
 の量(海水の平均速度と海深の積)に比例することが実証されました(Luther et al, 1991)。強い流れ
であるメキシコ湾流の下で測った場合に同様の関係が成立することは、Larsen and Sanford(1985)のフ
ロリダでの海底ケーブルを使った観測によって既に知られていました。図1に示すように、北太平洋の海
底で観測された電場はメキシコ湾流域の100分の1程度のパワースペクトルしか持ちませんが、そのよ
うな弱い流れに対しても電場観測の有効性が示されたことになります。
 現在、海水の流れを手軽に連続観測する手段として、海を横切る海底電話線ケーブルの両端の電位差
の連続測定が日本各地で行われています。それらの観測では、電位差の中から海洋ダイナモ成分をどの
ように取り出すかが問題となっています。というのは、地球の外側の電離層や磁気圏で起こった磁場変
動により地中に誘導される電位差も同時に観測してしまうからです。ケーブルが1000kmを越えるよ 
うな場合や、強い海流がない場合、あるいは磁気嵐の場合には、地球外の原因による変動のほうがむし
ろ大きくなります。一方、海底で地球外の原因による電位差変動を観測しようとする人々にとっては、
ノイズの小さいはずの海底で長周期成分に必ず海流による電位差変動が見つかることになり、こちらも
頭の痛い問題です。
 これらの問題のヒントとなりそうな数値計算が、最近行われるようになってきました。現実的な海底
地形と海水の速度場のモデルを使って海水の流れで誘導される電場が計算されています(Flosadottir et
al, 1997; Tyler et al, 1997)。空間の分解能にまだ問題がありますが、堆積物の影響など観測ではつかま
えきれなかった効果について新しい情報を提供しています。さらに、海水の流れで誘導された電場が陸
地の観測点の電磁場に与える影響についても、定量的に見積もるべく数値計算の試みがなされています
(Palshin et al, 1999)。日本のようにどこで測っても海岸からそう離れることができない所では、非常に
気になる問題です。これらの研究の発展が待たれるところです。
 (藤井郁子・地磁気観測所,京都大学大学院理学研究科地磁気世界資料解析センター非常勤講師)  

参考文献
Chave, A. D., D. S. Luther, L. J. Lanzerotti, and L. V. Medford, Geophys. Res. Lett., 19, 1411, 1992        
Flosadottir, A. H., J. C. Larsen, and J. T. Smith, J. Geophys. Res., 102, 10353, 1997
Larsen, J. C., and T. B. Sanford, Science, 227, 302, 1985
Luther, D. S., J. H. Filloux, and A. D. Chave,  J. Geophys. Res., 95, 7185, 1991
Pal'shin, N.A., L. L. Vanyan, and L. R. Lukin, 39, 422, 1999
Tyler, R. H., L. A. Mysak, and J. M. Oberhuber, J. Geophys. Res., 102, 5531-5551, 1997


 図1 メキシコ湾流下(実線)と北太平洋(点線)で測った海底電場のパワースペクトル
   (単位:mV2/km2/cpd)。Chave et al (1992)から抜粋。