地磁気静穏日・擾乱日について
- 地磁気静穏日・擾乱日の決めかた
地磁気静穏日(Q-days)と擾乱日(Q-days)は、
各月ごとに各日の3時間毎8つのKp指数にもとづき、現在はドイツのGeoForschungsZentrum
(GFZ) Potsdam
によって、以下の3つの条件から決定されている。
- それぞれの日の8つのKp指数の和
- それぞれの日の8つのKp指数の2乗和
- それぞれの日の8つのKp指数のうちの最大値
この3つの基準に基づきその月全部の日を小さい順に番号付けし、
それぞれの日についてそれら3つの番号の平均を求め、その小さい順に5つ、
あるいは10選んだ日がそれぞれ国際5静穏日
(International 5 quietest days)、
国際10静穏日 (Internatinal 10 quietest days) であり、
大きい順に5つ選んだ日が国際5擾乱日
(International 5 most disturbed days) である。
それぞれの順は静穏日についてはq1からq5あるいはq0まで、
擾乱日についてはd1からd5までといった表記で示される。
(地磁気静穏日と擾乱日のリストの書式)
- 地磁気静穏日・擾乱日についての注意点
地磁気静穏日・擾乱日について留意すべき点としては、
- 機械的に1ヶ月毎に5日あるいは10日を選び出しているので、
例えば同じ5静穏日でも月によってその静穏度は異なり、
静穏とはいえない日が含まれることも多い。(下記参照)
このため、Ap指数 (Kp指数から1日分の擾乱の程度になおした指数)
が6を越える静穏日にはAを、
6以下でかつ1つのKp指数が3以上または2つ以上のKp指数が2+以上の静穏日にはKを、
Ap指数が20未満の擾乱日には*を付けて表記することがある。
- 擾乱のない地磁気静穏日といえども、
主に核内ダイナモ作用に起因する地球主磁場のみで地磁気が構成されているわけではなく、
地磁気静穏日日変化 (Sq) と呼ばれる、
主に電離層内を流れる電流による日変化のほか、
磁気圏・電離層内を流れるその他種々の電流がつくりだす磁場や、
それらの時間変化が地球内部に誘導する電流が作る磁場の影響が常に存在する。
ことが挙げられる。
- 地磁気静穏日の実例
地磁気静穏日が必ずしも静穏とはいえない例として、
1985年3月のq3day (3番目に静かな日) とされる22日の、
CLF (Chambon-la-Foret,フランス) での磁場変化と、
AU/AL/ASY/SYM/Kp指数を示す。
明らかにUT0-2時と21-24時ころに擾乱が認められる。
このほか、AU/AL指数には11-14時ころにも擾乱がある。
また、CLFの日中の各成分には地磁気静穏日日変化が見られる。