Kp指数について


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Kp指数のリスト出力と図表    Kp指数 <-> ap指数対応表

  1. はじめに
    Kp指数は1949年にドイツ・ゲッチンゲン大学の Bartlesによって考案された指数であり、 現在はドイツのGeoForschungsZentrum (GFZ) Potsdamによって算出されている。 この指数はサブオーロラ帯 (オーロラが頻繁に見られる領域の少し赤道側) でのUT3時間の地磁気擾乱の振幅を対数的に、 28段階で (静穏な順に 0,0+,1- ... ,9-,9) 表現したものであり、 地磁気の擾乱の程度を表す指数として比較的広く使われるほか、 地磁気静穏日・擾乱日を決定するのにも用いられる。 その算出法の概略と関連する指数について以下に記す。 より詳しくは算出元による説明や、 Mayaudによる解説書 (Mayaud, P.N., Deviation, Meaning, and Use of Geomagnetic Indices, Geophysical monograph 22, American Geophysical Union, Washington D.C., USA, 1980) などを参照のこと。

  2. Kp指数の算出
    Kp指数はサブオーロラ帯にある13ヶ所 (現在) の観測所のK指数をもとに作られている。 したがってKp指数の算出法を知るにはまずK指数の算出法を知り、 さらにK指数からKp指数を求める方法を知る必要がある。
    1. K指数
      K指数は各観測所において、UT3時間に地磁気擾乱がどれだけあったかを、 擾乱の大きさをもとに指数化したものであり、 その算出法についての概略は以下の通りである。
      各日のUT0,3,6,12,15,18,21時から始まる各3時間について、 そのはじめの時刻の値に、 標準的な地磁気静穏日日変化 (Sq) 分を加えたものを各瞬間での基線とし、 実際の地磁気の値がそれからどれだけずれているかを求め、 その3時間内での最大値を定める。 地磁気の各成分についてK指数は考えうるが、 通常は水平方向2成分 (H,D) のうち値の大きい方を採用する。 その値をその3時間での地磁気擾乱の大きさとし、 観測所ごとに定めた対数的なスケール (K=9に対応する値で表される/表1参照)で表現したのが各観測所のK指数であり、 1日8個、UT3時間ごとの0から9までの10段階の値で表現される。
    2. Kp指数のK指数からの算出
      各観測所で算出されているのはK指数であるが、 K指数の各観測所ごとの地方時や季節ごとのばらつきを補正するために、 K指数から変換テーブルを用いて、 各観測所・UT3時間ごとの28段階の値に変換したのがKs指数である。 なお、Ks指数という言葉は南半球でのKpに相当する指数の意味として、 北半球でのKpに相当する指数であるKn指数と対で使われることがあるが、 それはここでいうKs指数とは別物である。

      現在 (2004年以降)、 Kp指数は表1にある13ヶ所の観測所のKs指数から求められている。 ただし、単純な平均ではなくBrorfeldeとUppsala、 及びEyerewellとCanberraのそれぞれの組のKs指数は平均して用いられる。 すなわち重みが他の観測所の半分として平均が求められ、 得られた値がKp指数であり、 UT3時間ごとに 0,0+,1-,1...,9-,9 の28段階の値で表される。 用いられる観測所はその数を含めて多少変化してきているが、 それにより指数の性質が変化しないよう注意が払われている。

      観測所名ABBコード 地理緯度地理経度地磁気緯度
      (2015年)
      K=9
      LerwickLER 60.133358.817 61.671000nT
      MeanookMEA 54.616246.653 61.171500nT
      SitkaSIT 57.060224.670 60.201000nT
      UppsalaUPS 59.90317.353 58.37600nT
      EskdalemuirESK 55.317 356.800 57.42750nT
      OttawaOTT 45.403284.448 54.88750nT
      BrorfeldeBFE 55.62511.672 55.22600nT
      WingstWNG 53.7439.073 53.85500nT
      HartlandHAD 51.000355.517 53.48500nT
      NiemegkNGK 52.07212.675 51.64500nT
      FredericksburgFRD 38.200282.630 47.66500nT
      CanberraCNB -35.315149.363 -42.04450nT
      EyerewellEYR -43.410172.350 -46.63500nT
      表1. 現在Kp指数算出に使われている13観測所


  3. Kp指数に関連した指数
    1日分8個のKp指数の和はΣKpと呼ばれる。
    Kp指数はK指数の性質から地磁気擾乱の振幅に対して対数的な性質を持つので、 これを表2に従って線形的にしたのがKp指数と同様UT3時間ごとのap指数であり、 中緯度域での地磁気擾乱のおおよその大きさをnT単位で現している。 また、1日分8個のap指数の平均値がAp指数と呼ばれる日ごとの指数である。

    Kp 0 0+ 1- 1 1+ 2- 2 2+ 3- 3 3+ 4- 4 4+ 5- 5 5+ 6- 6 6+ 7- 7 7+ 8- 8 8+ 9- 9
    ap 0 2 3 4 5 6 7 9 12 15 18 22 27 32 39 48 56 67 80 94 111 132 154 179 207 236 300 400
    表2. Kp指数 <-> ap指数対応表

    Cp指数は1日分8個のap指数の和から求まる日ごとの指数で、 0.0から2.5まで0.1刻みに26段階の値をとり、 C9指数はCp指数から表を用いて変換し、 K指数と同様の0から9までの10段階の値としたものである。
    Ap*指数(ftp://ftp.ngdc.noaa.gov/STP/GEOMAGNETIC_DATA/APSTAR/)は、 Ap指数が日単位なので日跨りの擾乱をうまく表現できない欠陥を補うため考案されたもので、 そのときとそれ以降7個計8個のap指数の平均値となっている。 詳しくは、 ftp://ftp.ngdc.noaa.gov/STP/GEOMAGNETIC_DATA/APSTAR/ReadmeAPSTAR を参照のこと。