地磁気の分布は地理的な座標に完全に準拠しているわけではないため、
地磁気に関連した現象を扱うには地理座標では不十分で、
地磁気に調和した座標が必要となる。
そのような座標にはいろいろなものがあるが、
そのうちで比較的簡単でよく使われるのが地磁気座標である。
地磁気座標は正確には地磁気双極子座標と呼ばれ、
地球磁場をモデル (通常は国際標準磁場
(IGRF))
に基づき、地球中心に置いた双極子で近似し、
その軸が地上と交わる点 (地磁気極という) を基準に定めた座標であり、
地磁気北極からの角距離 (余緯度) を90度から引いたものを緯度 (地磁気緯度)、
地磁気北極から見て、
地理北極を含む経線から求める地点の経線までの角度を経度 (地磁気経度)
としている。 (右図参照)
なお、図にあるように変換には地心緯度を用いる必要があるが、その地理緯度
(測地緯度)との差は0.2度以下であり、
それ以下の精度の議論では地理緯度を直接用いても差し支えない。
地心緯度について詳しくは例えば日本測地学会の緯度・経度のページなどをご参照ください。
地磁気座標は地磁気に基づく座標であるため、 永年変化と呼ばれる地磁気のゆっくりした変化に伴う地磁気極の移動により、 少しづつ変化している。