誘導磁化の実験を、
ギルバートと全く同じ方法でやってみよう。


  • 準備物
    • 強い目の棒磁石。馬蹄形磁石やゴム磁石など、両極が近接している磁石は不適当です。
    • 棒磁石を垂直に固定するもの。上面に棒磁石を通す穴を開けたボール紙の箱でよい(図参照)。
    • 1メートルほどの長さの糸と、それを切るはさみ。
    • 軟 鉄のまっすぐな鉄線2本。長さは8−10センチくらいが適当です。これを糸に吊るします。鉄製のハンガーを切って作ることもできますが、釘や針などの鋼鉄 (炭素鋼)は使 えません。というのも、鋼鉄はもし誤って磁石に一度でも接触させてしまうと、以後わずかですが磁気を帯びてしまって、実験には不適当となるからです。荷 物をくくる鉄線では、少し細くて軽すぎるかも知れません。
    • 丸釘か、太い針金か、あるいはボールペンの軸。
    • 幅8ミリ前後の、貼れるタイプの紙テープ。
    実験の手順:

    1.  もし腕時計をしていたら、それをはずします。腕時計にもわずかに磁性があり、実験の妨げになることがあるからです。

       磁石の片方の極が上になるように、ボール紙の箱を使って垂直に支えます。

    2. (a) 軟鉄の鉄線を揃えて切り、まっすぐになるように伸ばします。
      (b) 5センチぐらいの糸を、2本切ります。
      (c) 2〜3センチぐらいに切った、紙テープ2本。

        糸と紙テープを使って、鉄線をぶら下げるための直径1センチぐらいの輪を2つ作ります。まず、図Aのように、紙テープの一方の端に糸を貼り付けます。そし て、そ の端を鉄線の端に付け、テープを鉄線に巻きつけていきます。巻き終わる少し前に、図Bのように糸を巻き込みます。この時、輪の直径が1センチくらいとなる ようにします。紙テープを全部巻き、図Cのように、はみ出した糸をはさみで切ります。

    1. 残りの糸を、今作った一方の輪の中に通し、輪にゆるく結びつけます(あまり堅く結び付けないこと。堅く結ぶと、外しにくくなりま す)。

      糸の、50センチぐらい離れたところを、同じようにもう一方の輪に通してゆるく結びます。そして、余分な糸を切り落とします。

      これで、50センチぐらいの長さの糸の両端に、短い鉄線がぶら下がったものができました。

    2. もつれないように注意しながら、糸の真ん中を持ち上げ、水平にした丸釘またはボールペンの軸に2回ほど巻きつけます。指で丸釘ま たはボールペンの軸を回して、糸の先端の2本の鉄線が正確に同じ高さとなるように調節します。

     2本の鉄線が数ミリの間隔で静止するように、丸釘またはボールペンの軸を持ったまま待ちます。そして、これを固定した棒磁石の上まで 持っていき、静かに棒磁石の方に降ろしていきます(図参照)。うまく行けば、鉄線が元の間隔の2〜3倍の間隔に広がるのが分かります。しかし、大き くは開かないし、ギルバートの絵のように上がすぼんで下が広がるように開くのではなく、2本の鉄線は平行のまま間隔が少し開くだけなので、注意し てください。

     このまま、丸釘またはボールペンの軸を棒磁石から離していくと、2本の鉄線はまた近づいてきます。このようにして、丸釘またはボール ペンの軸を何度もゆっくり上げたり下げたりして、繰り返し実験を行うことができます。



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    原著者:   Dr. David P. Stern
    原稿更新日 2001年11月25日