ギルバートの業績について
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ギルバートは、 『磁石論』の中で、自分の発見について記述するだけでなく、磁石や方位磁針についての過去の間違った知識についての批判的意見を、かなりの分量を裂いて 綴っています。例えば、ニンニクにより磁石はその力を失うという迷信に対して、「プルタルコスとプトレマイオス、そしてそれ以降のすべての盲従者」の責任 で あるとし、哲学の世界においては、かくして嘘や誤りから生じた多くの間違いやいい加減な推測がまかり通っている、と書き記しているのです。 *訳者注:にんにくが磁石の力を失わせるというのは、どうも、プルタルコスでもプトレマイオスでもなく、プリニウスの『博物誌』中の記録のようです。
磁石の研究だけでなく、ギルバートは一見似たように見える現象、つまり、ある種の物質は、布野や毛皮で軽くこすると、もみがらのよう な軽い物体を引き付けるようになるという現象についても詳しく調べました。そのような物質のひとつに琥珀があります。琥珀は太古の樹木の樹 脂が黄色 く化石化したもので、古代ギリシャではエレクトロンと呼ばれていました。こ れにちなんで、ギルバートは、このような吸引力のことを「エレクトリック・フォース(電気力)」と名付けました。現在使われている、エレクトリック・ チャージ (電荷)、エレクトリシティ(電気)、エレクトロン(電子)、エレクトロニクス(電子工学)などの英語は、ここから来ているのです。ギルバートは方位磁 針に似た、非常に軽くて自由に回転できる針、ベルソリウム("versorium")を考案し、電気力の方向を測定しようとさえしたのです。 |
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『磁石論』6巻の うち最後の巻で、ギルバートは、地球の宇宙空間内での運動と、その運動の地磁気への関連性の可能性について考察しています。ここに至り、ギルバートは、 「天 文学中興の祖」コペルニクスへの支持を表明した訳ですが、これは同時に、『磁石論』が悪書とされる危険もはらんだものでもありました。『磁石論』を絶賛し たガリレ オは、ある高名なアリストテレス学派の哲学者からこの本を譲り受けたと言っていますが、それは、ガリレオの弁を借りれば、「その人は、きっと、この本から 影響を受ける のが怖くて、蔵書から処分したかったからに違いない」と言うことでした。
社会的背景については: 1600年のロンドン
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原著者: Dr.
David P. Stern
原稿更新日 2001年11月25日